中谷陽二編

精神障害者の責任能力
法と精神医学の対話

A5判 320頁 定価(本体5,800円+税) 1993年11月刊


ISBN978-4-7724-0438-4

 心を病んだ人の責任能力は,近代精神医学の前史にまでさかのぼる古いテーマである。また同時に,疾病概念や治療システムの変遷,刑事政策あるいは世論の動向を敏感に映し出すという点で,すぐれてアクチュアルな課題であるともいえる。そして精神鑑定はひとつの具体的な事例をめぐって法と精神医学という異質な専門領域が接する機会であり,責任能力の議論は,法律家と精神科医のいずれにとってもフラストレーションの源となっている。
 本書は,こうした歪みを解消する一助として法学と精神医学の第一線の研究者が行ったワークショップをもとに生まれたものである。責任能力をめぐる今日的争点を理解するための待望の書。

おもな目次

    ■分裂病・境界例

      精神分裂病の責任能力:西山詮
      精神分裂病の犯行のみせかけの了解可能性:中田修
      精神分裂病周辺事例の刑事責任能力に関する考察と問題点:小田晋
      境界例の病理と責任能力:福島章

    ■反応と情動

      反応性精神障害の責任能力:柴田洋子
      情動行為と責任能力:林美月子

    ■うつ・薬物依存

      躁うつ病者の責任能力:松下昌雄
      薬物依存者の責任能力:中谷陽二

    ■鑑定の方法・役割・歴史

      責任能力の認定における精神鑑定人の役割:青木紀博
      精神医学のミランダ:佐藤直樹
      日本古代と近世における狂気と犯罪:昼田源四郎
      アメリカにおける責任能力論の動向:墨谷葵

    ■鑑定と治療

      矯正医療から見た精神鑑定:糸井孝吉
      精神障害犯罪者の処遇と法:加藤久雄
      精神障害をもつ犯罪者の治療と課題:石川義博