H・コフート著/林 直樹 訳

自己心理学とヒューマニティ
新しい精神分析的アプローチに関する考察

A5判/340頁/定価(本体5,700円+税) 1996年8月刊


ISBN978-4-7724-0523-2

本書から,自己心理学の成立は,コフートの優れた臨床経験にばかりでなく,彼の歴史や人文科学全般についての深い教養にも根差していることが明らかになる。さらに,ここでは自己心理学を産み出したコフートの発想の個人的な起源についても,多くを知ることができる。また,本書には歴史学者であるストロジアとコフートとの対談が収められていて,コフートの最晩年の息遣いを伝えている点にも重要性が認められるだろう。内容的にも,危機の時代の支配的な流れに棹さして,命を懸けて信念を貫いた勇敢な人々の内面の理解に始まり,現代社会の変化をもたらした創造性についての考察,われわれがこの時代をどのように見つめ,集団の中でいかに行動していくかを論じた対談に終わる本書は,現代的状況の中で,ともすれば目標を見失いがちなわれわれに実にタイムリーなメッセージとなると思われる。
(訳者あとがきより)

主な目次

■第Ⅰ部 歴史を振り返る

    1.勇敢さについて
    2.リーダーシップについて
    3.自己心理学と人間の科学

■第Ⅱ部 自己心理学に関する考察

    4.自己愛の諸形態とその変形
    5.自己愛と自己愛的怒りについての考察
    6.歴史の中の自己
    7.創造性,カリスマ,集団心理学:フロイトの自己分析についての省察

■第Ⅲ部 ハインツ・コフートとの対話

    8.精神分析家と歴史家
    9.理想化と文化的自己対象
    10.自己の連続性と文化的自己対象
    11.狂気に対抗するユーモアの煌めき
    12.文明 vs.文化
    13.宗教,倫理,価値
    14.「どうか祖国スパルタにこの言葉を。われら祖国の命に従いてここに倒れる」

■概説:コフート,その理論と臨床(林直樹)