E・メスナー,J・E・グローヴス,J・H・シュワルツ 編
新谷昌宏・小澤健・北島潤一郎・和田忠志・北田志郎・成島健二訳

治療者はいかに自分自身を分析するか
オートグノーシス

A5判/192頁/定価(本体3,500円+税) 1996年10月刊


ISBN978-4-7724-0529-4

 精神科医や心理臨床家など臨床の場に従事する人々,とりわけ研修中で知識や技能の学習とトレーニングを受けているものは,きわめて大きなストレスにさらされることになる。そのようなストレスを克服し専門家として職業的任務を果たしてゆくために,治療者自身について学ぶことが本書のテーマである「オートグノーシス」である。
 それは体系的学術的な「知」とは別種の「臨床的知」であり,これまでの医学教育や研修プログラムでは得がたいが,本書に集められた24編の記録には,「逆転移」として語られる患者から治療者への影響と言った狭い範囲にとどまらず,同僚や指導医との関係,他職種や医療制度とのかかわりはもとより,家庭や友人などきわめて個人的な事情にも関係する感情的ストレスを回避することなく直視し,真摯に検討し,そしてそれらが克服された過程がなまなましく語られている。そしてオートグノーシスは抑うつや不安といった治療者自身の精神病理的現象を軽減させるばかりでなく,それを触媒として人の心の中の動きを洞察する能力を高め,臨床家としての前進をもたらすことが明らかにされている。
 あらゆる立場の治療者が日々の臨床の合間に本書をひもとくたびに,治療者が行き詰まったときに役立つ,さまざまな臨床上のヒントを発見できるであろう。

おもな目次

    序論
    患者を愛すること:精神科レジデント1年目の苦闘
    7月の最初の週
    死の教え
    重荷
    シャドウボクシング
    夜の闇に生きる人々
    ヒツジの口輪
    エジプト下り:創世記37章36節
    農耕
    質草
    驚き
    患者を失うということ
    歌の連想
    退けられた感情を呼び起こすこと
    病気の体験
    私の致命的な病
    書くことの途絶
    除かれた項目
    患者と子供
    文化としてのオートグノーシス:自己に向かう外部への旅
    自分自身に戻って
    人生なかばを振り返って
    心身論
    三つの症例