高橋祥友編

精神医学から考える生と死
ターミナルケア・自殺予防・尊厳死

A5判/260頁/定価(本体4,200円+税) 1997年2月刊


ISBN978-4-7724-0534-8

 医療技術の急速な発展や社会における価値観の変動に伴い,死がもたらす問題は近年大きく変化している。
 本書は,生と死をめぐるこころの問題について,世界6カ国の第一線の臨床家及び研究者が参加して行われた国際シンポジウムをもとに編まれた。ターミナルケア・自殺予防・尊厳死の3項目をめぐって議論が展開し,ホスピスやエイズに関する心理的ケア,老人や子供の自殺への適切な対策,海外における治療戦略など精神医学的視点からの積極的な意見が述べられている。とくに現在センセーショナルに取り上げられる尊厳死については,安楽死が認められたオランダの事情,またナチスの悲劇をふまえたドイツ人の論考が収められ,日本も本格的な死をめぐる議論を起こす時期にきていることがあらためて認識させられよう。
 死にゆく過程を否認することなく正面から取り上げ,生の尊厳を見つめ直すための果敢な試みである。

おもな目次

■第Ⅰ部:ターミナルケアと悲嘆

ターミナルケアと悲嘆教育/アルフォンス・デーケン
ターミナルケアにおける精神科的課題/柏木哲夫
死に直面しているエイズ患者の精神病理と精神療法/M・A・オダウド
死別者と悲嘆体験/平山正実

■第Ⅱ部:自殺予防と危機介入

自殺の危険の臨床的評価/A・リナース
精神保健における危機介入の原則/石川義博
日本の自殺の最近の動向/高橋祥友
青少年の自殺問題とその防止活動/稲村博
老年期の自殺予防/Y・コンウェル
総合病院入院患者の自殺の危険/D・バーガー
自殺と精神障害/飛鳥井望
自殺未遂者に対する治療の効果について/A・クルツ
精神障害と自殺予防/J・レンクヴィスト

■第Ⅲ部:尊厳死をめぐる倫理的問題

尊厳ある死/R・ディークストラ
ドイツにおける尊厳死の議論/C・ムント
倫理意識と尊厳死/大井玄
日本文化の中の尊厳死/中川米造