中田 修著

精神鑑定と供述心理

A5判/350頁/定価(本体6,000円+税) 1997年2月刊


ISBN978-4-7724-0535-5

 本書に先立って1972年に刊行された『犯罪精神医学』は,精神医学と法曹の世界で,高い評価を得た。その書に続いて,著者が手がけた365例のなかから精選された精神鑑定例と,被鑑定人の供述心理に関する論考が,ここに一本にまとめられた。
 分裂病,躁うつ病,覚せい剤中毒,そして著者がとりわけ多く手がけてきたアルコール酩酊での,責任能力の判定が論じられており,分裂病の殺人衝動,うつ病の性欲亢進,覚せい剤中毒の薬物への異常反応など新しい発見や見解に溢れている。また,犯人が時間が経つにつれて犯行がなかったと信じ込む心理や,“真犯人”を自分以外にでっち上げる心理が紹介されており,逮捕直後の供述が,時間が経って妄想追想が現れる時点の供述よりも,記憶に間違いがないと著者は指摘する。
 本書は『犯罪精神医学』とともに今後の研究と鑑定のためのバイブルでありつづけるであろう。

おもな目次

    Ⅰ 精神鑑定

      私の経験からみた精神鑑定の問題点
      日本の精神鑑定の未来を望んで

    Ⅱ 精神分裂病

      殺人衝動による殺人の一例
      分裂病の殺人者にみられた著明な情勢欠如

    Ⅲ 躁うつ病

      内因性うつ病の殺人とその責任能力
      道交法違反を反復した双極型躁うつ病の一例
      うつ病の性欲亢進による強姦殺人の一例

    Ⅳ アルコール酩酊

      飲酒試験における酩酊型の再現性
      非定型異常酩酊
      夢幻様の病的酩酊

    Ⅴ 覚せい剤中毒

      覚せい剤中毒性精神病状態における犯罪
      覚せい剤中毒における誇大妄想と減裂思考
      慢性中毒者が薬物に示す異常反応

    Ⅵ 拘禁反応・詐病

      的はずれ応答とL・スネル
      詐病の精神鑑定について

    Ⅶ 供述心理

      供述と記憶
      被告人による“真犯人”の創作
      妄想追想による分裂病者の供述の変遷