宮田敬一編

解決志向ブリーフセラピーの実際

A5判/270頁/定価(本体3,800円+税) 1997年4月刊


ISBN978-4-7724-0539-3

 近年注目を集めるブリーフセラピーは,今や外国の理論や技法の紹介の時代から,わが国の臨床場面での実践を積み重ねその有効性を検証する時代へと入ってきた。
 本書は,早くからこの新しい考え方を実践に取り入れてきた臨床家が自身のケースを詳細に提示することによって,さまざまな対象,さまざまな問題に対してどのように解決志向的にアプローチし,そしてどのように解決がもたらされるのか,その実際の姿を具体的に示すものである。
 加えて立場の異なるベテラン臨床家のコメントとそれに対する事例提供者のリコメントにより,従来の心理療法とどう異なり,どんな共通点があるかが明らかにされるとともに,ブリーフセラピーの特徴と可能性が浮き彫りにされている。  この新しい技法をめぐって,諸学派の垣根を越えた臨床家の対話が行われたことの意義は大きい。

おもな目次

    総 論

      ブリーフセラピーの現状と今日的問題:宮田敬一

    第1部 子どもの問題

      ケース1 ストラティージックセラピーにおける変化の期待の構築:宮田敬一
       ■コメント 宮田氏へのコメント:上地安昭
       ■リコメント 内なるリソースにまかせて:宮田敬一
      ケース2 ハンガリーのメガネ:小森康永・市橋香代
       ■コメント 〈ハンガリーのメガネは,ハンガリー製の眼鏡ではなく,またハンガリーに存在する眼鏡でもなく,ハンガリー在住の人のかけた眼鏡でもなく,ましてやそういうものに出逢った私自身でもない〉ということ:志村実生
       ■リコメント シムラ・ワールドにて:小森康永
      ケース3 不登校への統合的家族心理臨床の工夫:堀之内高久
       ■コメント 堀之内論文へのコメント 国谷誠朗
       ■リコメント 今,そこに在るものをヒントに 堀之内高久

    第2部 青年の問題

      ケース4 ハウ・トゥー・セラピー:解決の紡ぎ方:原口葉一郎
       ■コメント 初心者のために:大野清志
       ■リコメント ミラクル・バーチャル・セッション(奇跡的仮想面接):原 口葉一郎
      ケース5 娘の革命――家庭内暴力のてん末――:冨田典子
       ■コメント 冨田氏の論文を読んで:成田善弘
       ■リコメント 変化をとらえる複眼――成田先生のコメントを読んで――: 冨田典子
      ケース6 摂食障害女性との面接:田中ひな子
       ■コメント 巧まざる技巧のゆくえ:佐藤悦子
       ■リコメント コメントを読んで 田中ひな子

    第3部 成人の問題

      ケース7 職場になじめないという青年との面接:白木孝二
       ■コメント 心理治療とその記述について 河野良和
       ■リコメント 河野氏のコメントへのリコメント,あるいはメタコメント: 白木孝二
      ケース8 不満の陳述 < 解決の構築――不満のすき間に解決を創る――:磯貝希久子
       ■コメント Miracle Methodと精神分析的個人心理療法:乾 吉佑
       ■リコメント Unusual Method:磯貝希久子
      ケース9 問題志向から解決志向へ――BFTCアプローチの実際――:尾川丈一・遠藤裕乃・清水秀子・白川初美・渡辺道代
       ■コメント 治療的流れとしての精神療法:治療関係から治療技法へ:大野  裕
       ■リコメント ブリーフセラピーの視点から見た認知療法と精神分析について:尾川丈一
      ケース10 心療内科における解決志向アプローチの実践:小関哲郎・児島達美
       ■コメント 認知行動療法家のつぶやき:坂野雄二
       ■リコメント 認知行動療法と解決志向アプローチの間の「差異を生む差異」:小関哲郎・児島達美