ステファニー・ドナルドソン-プレスマン,ロバート・M・プレスマン著
岡堂哲雄監訳,竹前ルリ・山口恵美子・真板彰子訳

自己愛家族
アダルトチャイルドを生むシステム

A5判/220頁/定価(本体3,200円+税) 1997年5月刊


ISBN978-4-7724-0543-0

 明白な虐待や親のアルコール依存が存在しない家庭からも,慢性の抑うつ感,自己評価の低さ,コミュニケーション不全といった問題に悩まされるアダルトチルドレンが生まれてくる。これらの患者のカウンセリングの中で,著者らはその背景にある家族関係に共通する特異性,すなわち,親の要求が子どもの要求に優先し,親の不満足が子どもの責任に帰せられるという構造に注目し,この家族を「自己愛家族」と名付けた。
 本書では,従来のACOA概念との共通性を踏まえて「自己愛家族」モデルの成立と臨床への応用可能性が述べられ,豊富な症例とともに行動療法,ブリーフセラピーを基盤にした著者ら独自の治療技法の詳細が描かれている。また巻末の補遺においては,精神分析理論による自己愛の概観とさまざまなテクニックを援用して成功したセッション例が収められている。
 著者らが本書を通じて提起した自己愛家族の診断と治療教育のフレームワークは,わが国の臨床心理,精神医療,社会福祉,看護などの領域においても参考にされ,活用されるものとなろう。

主な目次

第1部 自己愛家族のモデル

    ナルキッソスとエコー:自己愛システムの原形
    自己愛家族の特徴
    ナルキッソス,ナルシシズム,そして自己愛家族モデル

第2部 自己愛家族で育った大人の治療

    受容:回復への鍵
    感情とコミュニケーション
    境界を設ける
    決定することと満足の延期
    信頼と治療
    親密,セックス,そして友情
    「我為すゆえに我あり」対「宝物を見出す」
■補遺A 精神分析理論における自己愛論の概観
■補遺B ブレイク夫妻のセラピィ