メアリー・R・ハワース著/齊藤万比古監訳

ある少年の心の治療
遊戯療法の経過とその理論的検討

A5判/248頁/定価(本体3,600円+税) 1997年9月刊

ISBN978-4-7724-0555-3

 本書には,少年ダンの遊戯療法の全記録が収められている。少年の生育歴,心理検査の結果と評価をまとめた第1章,32回にわたる遊戯療法過程を,生き生きとした記録と治療者メモで詳細に報告した第2章,少年の内面的なテーマが個別に考察され,治療者の思考過程をダイナミックにたどることができる第3章,治療者の介入が少年に及ぼした影響に焦点を当てた第4章,と読み進むうちに,読者は実際に治療者として関与しているかのような感覚を経験することになるだろう。
 著者ハワースは,自我心理学的な理解を核にしつつ,さまざまな立場の遊戯療法理論や技法を折衷的に取り入れ,違和感を与えない暖かな治療者の感覚を伝えている。  子どもの精神療法としての遊戯療法や,児童青年精神医学を学ぶ者にとっては,穏やかでバランスのよい治療者の姿勢とそれに支えられる遊戯療法過程について教えてくれる副読本となり,またベテランにとっても,治療者の思考と感覚を常に瑞々しく保つための刺激を与えてくれる座右の書となるであろう。

おもな目次

      まえがき
      序論

    第1章 治療原則と予備的手続き

      治療経過の概観
      紹介時の問題点と家族史
      心理学的評価
      症状の決定要因に関する検討
      予測される治療経過

    第2章 治療の経過記録

      序論
      経過記録:第1回〜第18回
      当初4カ月間の治療の中間報告(全18セッション)
      経過記録:第19回〜第32回
      治療の最終報告
      母親治療者からの覚え書

    第3章 個々のテーマ

      序論および概観
      テーマⅠ 自己概念
      テーマⅡ 強迫的潔癖さ及び肛門−尿道的側面
      テーマⅢ 血液に対する反応と去勢不安
      テーマⅣ 母親とのエディプス的関係
      テーマⅤ 父親へのライバル意識と同一化
      テーマⅥ 自慰空想
      テーマⅦ 口唇剥奪から満足へ

    第4章 治療過程と治療者の役割

      序論
      第1回から第32回まで
      遊びの中断
      治療経過の要約