「あとがき」より

……
 摂食障害は私が病院に働く医師として取り組んできた病である。しかしながら私は,心理学としての精神分析に私自身をアイデンティファイしようともっぱら努めてきたので,私から見たところでは医学へのそれの応用分野である摂食障害の治療については,かなりを心身医学で,ときに精神病理学の領域で発表してきた。精神分析の応用として摂食障害治療を私がとらえていたことゆえの私の中の区分けだった。もちろんそうは考えていながらも,私は私なりに真剣にそれぞれの治療に取り組んできた。ゆえに,このような形でまとめる機会を得られたことにはまことにうれしいものがある。
 私の個人的な考えとしては,私が新たな視点から治療を進めていった1988年以降の論文でまとめた方が考えのまとまりがよい感じもしたが,それ以前の体験からの,言わば研鑽期の論文も3編収めた。それらを引用してくださる方もおられるので,私としては青臭さが恥ずかしいが収めてみた。これら3編の論文はそうした別枠のものとして読んでいただきたい。第4章スーパーマン・ファンタジー,第5章両親の機能論文,第6章ジェンダー・アイデンティティ論文である。本書のための書き下ろしが3編ある。1997年の時点で書き足したいことを書いた。しかし全体のまとまりと理解に役立つことも目指した。
 本書には私なりの摂食障害の病理理解と治療を描いている。いろいろな学会誌や専門誌に発表したものを集めているため,堅い表現や繰り返しがあって読まれる方に負担をかけるところをとても申し訳なく感じている。また,読者のこれまでの知識と異なる私の考えややり方に,読んでとまどわれる方もあるかも知れない。それはそれとして,何かの機会にゆっくり討論できたらよいと思う。
……