S・マクナミー,K・J・ガーゲン編/野口裕二・野村直樹訳

ナラティヴ・セラピー
社会構成主義の実践

四六判/230頁/定価(本体2,800円+税) 1997年12月刊


ISBN978-4-7724-0566-9

 精神療法のあり方に根底から変革を迫る,待望の書。
 新しい変化の波は主に家族療法の分野で相互に無関係な散発的試みとして始まったが,90年代に入りこの大きな変化の全体を見渡せる視点やその思想的背景が見えるようになってきた。
 本書において,社会構成主義(ソーシャル・コンストラクショニズム)と呼ばれる新しい考え方のもとに,それまで無関係に見えた臨床家たちの仕事が相互に関連づけられ,またこれらの動きの背景には,解釈学,脱科学主義,ポストモダニズムなどの大きな影響があることも明らかになっている。
 これらの新しい試みに共通するのは,「現実は人々の間で構成される」という考え方であり,この前提に立つと,人々が経験している現実とは別の「客観的現実」は想定できない。また,治療の場における理解とはクライエントとセラピストの対話そのものであり,「無知のアプローチ」に基づく「治療的対話」こそ,社会構成主義の考え方を実践レベルでもっとも見事に結晶化させたものといえる。
 本書を通して浮かび上がってくるのは,単に新しい理論や技法というべきものではなく,無知というスタンスであり,純粋な好奇心に満ちた構えであり,クライエントから教わるという姿勢である。

おもな目次

    序 章:H・マクナミー,H・J・ガーゲン
    第一章 家族療法のための再帰的視点:L・ホフマン
    第二章 クライエントこそ専門家である:H・アンダーソン,H・グーリシャン
    第三章 「リフレクティング手法」をふりかえって:T・アンデルセン
    第四章 治療を拡げる新しい可能性:G・チキン
    第五章 書きかえ療法――人生というストーリーの再著述:D・エプストン,M・ホワイト/「書きかえ療法」についての解説:K・マレー
    第六章 ナラティヴ・モデルを越えて:K・J・ガーゲン,J・ケイ