宮田敬一編
学校におけるブリーフセラピー
A5判/228頁/定価(本体3,400円+税) 1998年5月刊
ISBN978-4-7724-0580-5
今日,不登校やいじめをはじめとして,非行,校内暴力,中途退学などの問題で,学校は大きな危機に直面している。この学校問題に対処するために,文部省の委託事業が1995年度より始まり,スクールカウンセラーが学校に派遣されるようになった。その中で,多くのカウンセラーの人たちが実感したことは,学校問題の対処にはこれまでの病院臨床における治療モデルとは異なるモデルが必要だということである。
発達途上にある子どもにとって,学校での1年あるいは2年はとてつもなく大きな意味のある期間であり,たとえ問題が起きても短期間で解決することで子どもはたくましく成長する機会を得ることができる。そのために最も適した心理療法モデルの一つが,短期の効率的な治療をめざすブリーフセラピーである。ブリーフセラピーでは,人の病理ではなく健康な面,肯定面を重視し,また個人を越えた人と人の相互作用システムを考慮することで,来談への動機づけの低い人にも対処できるモデルでもある。
本書は,ブリーフセラピーを効果的に学校問題に適用することを論じるにあたり,その考え方と技法の基本的な原則を教育現場でもスムーズに応用できるよう具体的かつ簡明に解説した上で,事例の提示により,実際の問題解決の過程についても詳述している。子どもたちの問題解決にかかわる教師や教育関係の人たち,またスクールカウンセラーやセラピストに直ちに役立つ指針を示すものである。