斎藤 学 編

児童虐待
[臨床編]


A5判/336頁/定価(本体4,200円+税) 1998年8月刊


ISBN978-4-7724-0592-8

 子ども時代の外傷体験は,それが児童虐待のように日常的に繰り返されるものであればなおのこと,日常の行動や対人関係など実に広範な領域において再現され,その後の人生に影響を与え続ける。
 本書は精神医学の視点から,主に児童虐待というトラウマを経て成人となった人々,いわゆる“サバイバー”に対する治療の枠組みを提案したものである。児童虐待の実態と,それがもたらすさまざまな精神症状並びに生きる上での困難を統計資料によって明らかにし,虐待を受けた子ども,虐待体験を抱えた成人,さらに虐待加害者への精神科領域での治療・援助の方法を,詳細な事例を挙げて多角的に提示する。小児科領域・司法領域における対応と介入,またわが国では報告がほとんどない「解離性同一性障害(多重人格)」「代理ミュンヒハウゼン症候群」の事例報告も貴重であろう。
 児童虐待のみならず,さまざまなトラウマ体験からの回復に腐心している臨床家にとっての活路となる,本邦初の臨床書である。

おもな目次

    第Ⅰ部 総説

      児童虐待というトラウマ:斎藤 学
      被虐待児の情緒と行動:斎藤 学
      児童期性的虐待について:斎藤 学
      思春期臨床と児童虐待:崎尾英子
      子どものトラウマとしての夫婦間暴力:斎藤 学

    第Ⅱ部 事例と対応

      私の出会った子どもたち:坂井聖二
      小児科医療からみた児童虐待:橋本信男
      地域住民の協力による被虐待児の保護:渡辺淳子
      親の引き取りを阻止して入院を継続させた事例:平湯真人
      行動チェックリストによる被虐待児の評価:三輪田明美・手塚一朗
      児童虐待と分裂病圏障害:中山道規・佐野信也・後藤健文・木村和弥・佐藤 豊・東 和也
      解離性同一性障害と家族機能:斎藤 学
      代理ミュンヒハウゼン症候群:正木公子
      精神鑑定:13カ月児を溺死させた母親:斎藤 学

    第Ⅲ部 治療

      トラウマを受けた児童への治療的接近:西澤 哲
      児童虐待と多重人格性障害:安 克昌
      児童虐待後遺症者の診断と治療:斎藤 学・三橋順子・飯塚 浩
      軽催眠によるトラウマワーク:太田茂行
      児童虐待後遺症の薬物療法:飯塚 浩
      あるサバイバーの精神療法過程:大嶋信頼
      性的虐待後遺症からの回復:三橋順子
      ジェノグラム・シェアリング・グループ:母里雅子
      サバイバーが親を告発するとき:斎藤 学・〔I〕・木下淳博
      子どもを虐待する親たちの臨床:斎藤 学