ジェラルド・アドラー著/近藤三男・成田善弘訳

境界例と自己対象
精神分析の内在化理論


A5判/230頁/定価(本体3,500円+税) 1998年10月刊


ISBN978-4-7724-0593-5

 アドラーは現代米国の高名な精神分析家であり,主たる業績としてパーソナリティ障害の治療で知られている。その内容は,性格障害をもつ服役囚の治療から総合病院での短期入院治療まで幅広いが,中心はやはり境界例と自己愛パーソナリティにおける転移と逆転移の問題である。この度,最良の訳者を得て,彼のもっとも著明な著作が邦訳された。
 アドラーは,境界例患者を理解し治療するために対象関係論,自己心理学,人間関係と間主観性の理論等の成果を取り入れ,独自の理論的枠組みを定式化した。その理論と実践は,多くの境界例論に比べ地味ではあるが,そこに見られる人間への配慮はおもむきがあり,アドラー自身の人柄を彷彿とさせてくれる。
 本書には,境界例に関するアドラーの理論,主要な治療技法と臨床上の問題点が統合的に述べられている。治療者を悩ます境界例患者の臨床において必ずや有効な指針となるであろう。

おもな目次

      日本語版への序:ジェラルド・アドラー

    ■第Ⅰ部 境界例の精神病理

      第1章 境界例の基本的病理:両価性か形成不全か?
      第2章 発達の問題
      第3章 境界例病理の精神力動

    ■第Ⅱ部 境界例患者の精神療法

      第4章 境界例病理の基本部分の治療
      第5章 境界−自己愛パーソナリティ障害連続体
      第6章 治療同盟という神話
      第7章 直面化の使用
      第8章 直面化の誤用
      第9章 精神療法における退行:破壊的なのか治療的なのか?
      第10章 価値切り下げと逆転移

    ■第Ⅲ部 他の治療上の諸問題

      第11章 入院の管理
      第12章 攻撃的行動化をする患者の治療
      第13章 精神分裂病の精神療法:セムラッドの貢献

      解題――訳者あとがきにかえて――