「序」より

 ロンドンのグループ分析プラクティスは,グループ分析の臨床の場を提供する小さな組織で,これを発展させたのはS・H・フークスとその仲間であり,第二次世界大戦が終わって数年間のことであった。
 そこでの方法がフークスがたくさんの著書にまとめ(1948, 1964, 1975),またフークスとアンソニーの共著(1965)もあり,国際的な関心を集め,研究の対象となってきている。本書はいろいろな筆者による共著書であり,そのためにグループ精神療法へのグループ分析的接近がたくさんの異なった観点から説明され,照明が当てられいることを,読者は知るであろう。そういう内容なので,いたずらにグループ分析の原理や方法に筆を尽くすことは,あえて避けた。
 グループ分析協会は,おいおい読者に明らかになるように,フークスとその同僚たちが非公式な会合を規則的に開く過程で形成され,現在も公開討論の場を,狭義あるいは広義のグループ分析に対して興味を持つすべての人々に,提供しつづけている。この施設はフークス法に基づいて,厳格な訓練を施している。『グループ分析』は2つの団体の主宰になる雑誌である。
 施設には週1回および週2回のグループが集まり,フークスが開拓した治療を,その大半は大きなロンドンに住む約350人を対象に行っているが,ときには驚くべきことに,はるか遠くからやってくることもある。プラクティス協会のさまざまな会員が何年にも及ぶ貴重な臨床経験を積み上げてきており,グループに適する患者を選び出すための有効なアセスメントを,開発してきている。プラクティスはまた,能率的な管理組織のもとに治療の場を提供し,それを注意深い点検がなされた財政が支え,費用を節減している。そしてそのことによって,多数の治療希望者が手の届く値段で治療を受けられることを,可能にしている。
 本書が意図するところは,英帝国内の同僚ならびに他国の同僚が,我々のこの経験から学び,同じような施設を作り発展させることである。