D・R・グローブ,J・ヘイリー著/岡本吉生訳

治療としての会話
ヘイリーの心理療法コンサルテーション


A5判/226頁/定価(本体3,400円+税) 1999年1月刊


ISBN978-4-7724-0601-7

 ヘイリーは,戦略派の家族療法家として,またミルトン・エリクソンの卓越した心理療法を現在に伝える第一人者として著名な臨床家である。本書には,ヘイリーとその弟子グローブによる治療的コンサルテーションとライブ・スーパービジョンの記録が収められている。ケースの全体像の提示から,家族の問題に対する記述,ヘイリーとのコンサルテーションの逐語録,フォロー・アップの結果,理論的根拠のためのディスカッションが記載されている。
 家庭内暴力,浮気などの夫婦間の問題,子どもの虐待,多重人格等,取り上げられているケースの多くが,今日のアメリカや日本の抱える家庭と社会の問題を含んだ困難ケースである。具体的なケースで治療者が行き詰まりを感じたとき,それをどのように考え,どのような治療場面として設定し直し,どのような言葉を用いて治療を進め,適切な変化を促していくのか,読者は現実のケースのもつ迫力に圧倒され,そしてヘイリーとグローブの問題解決に向けた豊かな着想に魅了されることだろう。
 本書は,心の臨床を実践するものにとって数々の示唆を含んだ,難解でない実践の書である。

おもな目次

    第1章 父親をエンパワーする

      双子と継父――再婚家庭における父親と子どもの適応――
      地位のない父親――家出ときょうだいへの性的虐待――

    第2章 夫婦の協約

      抑うつと不安を示す妻――配偶者の治療参加――
      ひとりの男では物足りない――セラピストとの三角関係――

    第3章 暴  力――バタード ワイフ――

    第4章 浮  気

      道に迷った芸術家――リフレーミングのパワー――
      不倫をスケジュールする――新たなルールの形成――
      治療における袋小路――治療意欲の回避――

    第5章 虐  待

      性的欲求の喪失――過去の性的虐待への疑念と現在の性的問題
      健忘――催眠手続きの要点――
      二つの物語――過去の性的虐待と援助資源としての配偶者――
      ひとつの人格では物足りない?――多重人格――