「日本語版への序文」

 美しさに対する西欧の基準が日本にも影響を及ぼし始めています。その結果,摂食障害者の増加は恐ろしいばかりです。
 この本の中で私が紹介した方法と概念が,このきわめて難しい問題を抱えている人たちの治療にあたっている日本の臨床家の方々のためにお役に立つことができることを願っています。西欧の大多数の臨床家たちが,摂食障害者には緊密な治療関係と長い期間にわたる治療が必要であると信じています。しかし,私は,こうした多くの人たちの治療を短期かつ効果的に行うことができることを発見してきました。ブリーフセラピーは,何よりもクライエントのもっている強さと柔軟性に徹底して焦点をあてていきます。それは,臨床家のクライエントに対する見方の変更――病んで傷ついている人から有能で力をもった人としてのクライエントへ――を迫るものなのです。また,一人一人のクライエントに固有の現実に対して臨床家はどうすれば心を開くことができるか,そのことも教えてくれます。そうやって,クライエントとセラピストが一つのチームとなって一緒に治療の目標を決めていく,そうした協同性に富む治療関係を育ててくれるのです。
 拒食症や過食症はたしかに複雑です。しかし,それにもかかわらず,私は,ソリューション・フォーカスト・ブリーフセラピーによるアプローチが,臨床的にもまた経済的にももっとも効果的であるということを発見しました。クライエントはもはや長年にわたって弱い人と見られる必要などないのです。治療の期間はセラピストとクライエントの間の話し合いに委ねられるのです。
 このアプローチは,クライエントに対する深い尊敬の念を育て,クライエントには,自分には一人の人間としての可能性があるのだ,という気づきをさらに持てるよう援助してゆくものです。私は,この本が,読者の方々にとって一つの有効な資源となってくれることを望んでいます。

ケンタッキー州,バーリントンにて
バーバラ・マクファーランド