あとがき

 分裂病についてさまざまな角度からその病態について多数の研究がなされているが,いまだ衆目の一致する明確な答えは出ていない。そもそも分裂病の病理が,人間と言語,ないし社会・文化とのあいだの,あるいは人と人とのあいだの,さらには生物学的身体と心的身体のあいだのそれぞれの相互作用的な接点に位置する以上,分裂病の病因究明は一筋縄ではいかないはずである。しかしながら,生物学的精神医学および精神病理学,ないし社会精神医学の知見に裏づけられつつ,それなりの治療の進歩がみられてきたように思う。もちろん,まだ満足のいく治療にはほど遠い段階である。本書が統合的治療にむけた分裂病理解の一助となれば幸いである。
 ……(後略)