西園昌久著

精神分析技法の要諦


A5判/270頁/定価(本体4,800円+税) 1999年3月刊


ISBN978-4-7724-0606-2

 本書は,日本における精神分析のパイオニアであり精神療法全般に関しても幅広い視野をもつ著者の最新の臨床論文集である。精神療法の学習に不可欠なさまざまな臨床課題についての論考が収められている。
 精神分析は人間の主観に関する学問である。治療者には,「共感―支持」ですむものと,深い治療をするものとの区別ができなければならない。著者は長年の臨床経験に基づき,これまでの精神分析の積極的評価から考察を深めて,具体的援助技法としてどのように治療的同盟関係を作るか,精神療法一般に共通する治療原則や治療効果についての論考を展開する。
 著者の視点は,伝統的治療だけに固執することなく,社会変動が人間の心性にどのように影響を与えていくか,医療と福祉の連携,家族機能・社会的技能回復の方策としての精神療法,治療に必要なライフサイクルの理解にまで注がれている。そしてより進んだ治療効果を上げるため,患者は生物−心理−社会的多次元モデルで理解し治療すべきであると説く。職業的精神療法家が身につけるべき精神療法的戦略を詳述した臨床指導書である。

おもな目次

    序章:精神療法の本質――精神分析の視点――

    Ⅰ 精神分析の技法論

      自己の発達と身体性
      スーパービジョン論
      治すことと癒すこと
      今日の思春期心性と精神病理
      精神科臨床と夫婦
      精神療法過程にみられる現代の父親
      癒しの文化性――伝統的治療と精神医学的治療――

    Ⅱ 精神分析治療の経験

      慢性分裂病の治療への挑戦
      治りにくいうつ病の治療
      治りにくい神経症の治療
      神経症と病識
      人格障害(第Ⅱ軸Axis II)の理解と治療アプローチ
      強迫性障害の症候群――依存,過食,自傷などとの関連
      ヒステリーの病理と治療
      高齢者の精神障害

    終章:精神分析家としての関心とその深化