小林 真著

ニーチェの病跡
──ある哲学者の生涯と旅・その詩と真実──


A5判 228頁 定価(本体2,400円+税) 1999年9月刊


ISBN978-4-7724-0625-3

『善悪の彼岸』『ツァラトゥストラかく語りき』『この人を見よ』などを著した,あまりにも有名な哲学者ニーチェ。彼は1889年1月,静養先のトリノで発狂し,思想家としての活動を終えた。その原因は,深い思索ゆえの狂気とも,脳梅毒によるものとも言われる。そこで問題となるのは,彼の書いたものに狂気の片鱗は見えるのか? あるとすれば,どの時期からが狂気に侵されていたのか? 彼の書いたことは,ただの狂人の戯言に過ぎないのか? という点である。
 本書は,他の病跡学研究と,ニーチェ自身の膨大な著作や手紙,そして,「足で考える」を信条にヨーロッパ中を旅し,散歩を愛したニーチェの足跡を追うことで,医学的,文学的,哲学的,評伝的にニーチェ研究におけるこの最大の問題──ニーチェの中の狂気──を,解き明かしていく。
元ドイツ文学の大学教授で,精神科医でもある著者以外には,20世紀に多大な影響を与えた哲学者の狂気に肉薄することはできなかったであろう。没後百年を迎えんとするニーチェの,最良の研究書である。

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