山中康裕著

心理臨床と表現療法


A5判 258頁 定価(本体3,800円+税) 1999年11月刊


ISBN978-4-7724-0633-8

 言語的に,あるいは非言語的にクライエントが「表現」することで,自らを露にし,こころを癒していく《表現療法》を,基本から応用にいたるまで余すことなく説いたのが本書である。掲載されたケースの「作品」は120以上にものぼり,その方法も,自由画,スクリブル,スクイッグル,風景構成法,MSSM,箱庭,写真,詩,短歌など多岐にわたる。また,極初期の論文「芥川龍之介の病跡」をはじめ,創造にかかわる人の心理や病理を探ったエッセイなど3本も収載。
 表現療法は診断や人格アセスメントに使われることも多いが,人間は古来より表現を通して,自らや他者,世界と融和をはかってきたということを考えると,当然,情緒や感情と深い関係があり,表現はそれだけでも治療的だと著者は言う。
 心理療法を行うものにとっては,クライエントの作品群を眺めるだけでも,表現療法の実践に役立つことだろう。心理臨床をはじめたばかりものでも,長年現場に臨んでいるものでも,本書から学べるものは数多い。精神科医として,心理療法家として30年来,表現療法を行ってきた著者の最良の一冊である。

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