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「あとがき」より抜粋

 本書は,心理臨床と表現療法に関して,著者がこれまでに書いてきたいくつかの論文の集積である。30年以上前のほとんど初書きに等しいもの(芥川論文)から,つい最近のもの(MSSM論文)まで,大きな幅があるが,それらについては既に述べたのでこれ以上触れない。
 きわめて個人的なことだが,今年は私にとって,いわば「祝祭」の年であったと言えるかもしれない。ちょうど京都大学に赴任して,この10月1日で20年目に入ったのであるが,今年は,我が住処宇治の奇祭「県祭(あがたまつり)」に始まって,国際箱庭療法学会に乗じてカナダのケベックでの歴史記念祭「ヌーブル・フランセーズ」,福島県相馬で「馬追」,同じく日本箱庭療法学会に乗じての沖縄県竹富島での「種取祭(たにどるさい)」,そしてまさに今日,打ち上げとしての,やはりわが宇治に,昨年より新たに始まった,若者らが中心となって千年の昔から蘇らせた「大田楽祭」と,実に五つの祭りを見る機会をもったが,いずれも,その土地の住民が伝承してきた歴史性と生産や生殖や創造性に纏わる大自然への感謝を象ったものが中心であった。ここに,本書のあとがきを書くにあたって,これらは直接的には何の関係もないかにみえるが,例によって,私は私自らの癒しに関わるコンステレーションの妙を思うのである。
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