渡辺久子著

母子臨床と世代間伝達

A5判/264頁/定価(本体3,600円+税) 2000年5月刊


ISBN978-4-7724-0639-0

 子どもたちの心の臨床の場においては,親の苦悩が子から孫へと伝達するケースが非常に多く見られる。著者は,この情緒の世代間伝達の鎖を断ち切るための治療技法として,母子臨床(親−乳幼児治療)を提唱する。そして,ボウルビー,マーラー,フライバーグ,ウィニコット,スターン,クラメール等の乳幼児精神医学の成果をもとに,微妙に照らしあう母子関係を詳細に解き明かし,臨床現場からフィードバックした著者独自の心の援助技法を提示する。
 さらに,近年臨床的関心を集めている,心的外傷,家庭内暴力,児童虐待,PTSD,育児に困難を来す母親など,さまざまな母子関係性の障害についてもそのメカニズムを明らかにし,援助のための指針を示している。
 小児科・精神科で長年子どもたちを見続けている著者の臨床的知見の集大成であり,子どもの臨床に携わる人々すべてに多くの示唆を与えるであろう。

おもな目次

    序 編

      社会の変容と子どもの心
      〈キレる〉子どもと〈キレる〉心の世代間伝達
      心の芽生えと親子関係
      世代間伝達の精神病理
      少子化時代の精神療法

    第Ⅰ部 乳幼児精神医学

      愛着と周産期
      関係性の障害と乳幼児
      乳幼児心性とライフサイクル
      乳幼児の精神障害の診断と分類
      食と心の原点としての授乳体験
      乳幼児期のfeedingと摂食障害

    第Ⅱ部 母子臨床の実践

      照らしあう母子の関係
      世代間伝達の治療構造論――親−乳幼児治療
      親−乳幼児治療の実際:理論と技法
      摂食障害と世代間伝達
      子どもの心身症
      児童虐待――世代間伝達を断ち切る
      子どもを亡くした家族への援助
      発達することの不安と喜び(1)――心の誕生への旅
      発達することの不安と喜び(2)――固着と退行
      発達することの不安と喜び(3)――心の発達への援助