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「序文」より

 この本のために論文をかき集めることは,とても元気のでる仕事だった。いろいろな仕事をしている著者たちの論文を一冊の本にまとめ,これらの著作がここ何年かのあいだに生み出した成果と新しい会話を再確認することは,実に素敵なことだった。
 私たちは,トレーニングやワークショップ,それにカンファレンスに参加した人々からいつも必ず,ナラティヴな考え方やナラティヴな仕事の仕方についての入門書として何がいいのだろうかと尋ねられてきた。これでようやく,その質問に答えることができるわけだ。つまり,この本を薦めればいいのだから!
 この中には,実践に基づいた論文のうち,わかりやすくて,魅力的なものがいろいろ集められているが,どれも皆,最初に出版された時は読者から熱心なフィードバックをもらったものばかりである。セラピストにとって,コミュニティ・ワーカーにとって,そして,ナラティヴ・セラピーをもっと理解したいと願う人々やナラティヴな仕事の仕方を探求し実験していくさまざまな方法について知りたいと願う人々にとって,この本は,読みやすいながらも完全なイントロダクションとなるだろう。
 以下の頁に記述された,個人,グループ,そしてコミュニティとの経験や仕事の幅は,見事なまでに多様である。しばしば分裂病と呼ばれる,幻聴や幻から人生を取り戻していくさまを描いた「パワー・トウ・アワ・ジャーニー」グループの知識や技術。性的虐待やアノレキシア・ネルボーザの影響についての女性との仕事。ミスター・エイズやミセス・ケアとの会話が生まれる,アフリカのマラウイ村。自己虐待を経験している若者たちとの研究。糖尿病や悲しみについてのオーストラリア原住民との仕事。亡くなった愛する人への「再会」の誘い。他の人々とはちょっと異なる「変な能力」をもって人生を生きる人々との仕事を描くストーリー。若者とのナラティヴな冒険キャンプ。この論文集が,読者を挑戦的にインスパイアーすることを願う。
 読者からフィードバックを頂いたりしながら,この仕事のさらなる成果を見届けたいものである。

シェリル・ホワイト/デイヴィッド・デンボロウ

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