「序文」より

 注意欠陥障害(ADD)あるいは注意欠陥多動性障害(ADHD)は,最近5年間,家族や専門家の間で話題になってきています。テレビ,新聞,雑誌は,この一般的で,重要な事項をとりあげるようになってきました。
 このようなメディアの報道にもかかわらず,ADHDについての知識の不足は広い範囲に及んでいます。この本は,そのような知識の不足に打ち勝つのに役立つことを目指したものです。
 本書は,ADHDの実用的な概観を子どもの世話をするすべての人々のために書かれています。本書は学習上困難があったり,年齢相応の行動ができない子どもたちと接することの多い,両親,教師,医師,心理臨床家,および言語療法士や行動療法士などの他の多くの専門家に興味を持ってもらえると思います。しかし,もしも単にこの本が情報を提供するだけだとしたならば,すべての目的を果たしたとは言えません。もしもADHDの子どもおよびそれらの子どもを持つ両親が助けを待っているとすれば,単に知識を増やすだけでは十分ではないでしょう。「隠された障害」を持つこの子どもたちへの,人々の姿勢が変わることが必要なのです。
 したがって,本書により私たち社会の多くの子どもが直面している発達的な難題を説明し,読者に彼らへの判断の仕方を変えてもらうことが私の願いです。
 うまくいけば私たちは,「怠け者」「愚かな」「いたずらっ子」などの無意味な言葉が彼らを表すことを追放できるでしょう。さまざまな困難に立ち向かい,手助けを必要としているこれらの子どもをより深く理解することができるでしょう。そのような子どもたちと暮らしていくことはとても困難であることを理解し,両親たちが必要とするサポートを提供しましょう。
 第1部と,第3部から第6部はADHDの一般的なことを記述しています。これらの部はすべての親に興味をもたれるでしょう。
 第2部の6つの章はそれぞれ発達の特別な側面について記述しているので,親は,子どもの持つ特有の問題に関連した章を選ぶことができます。
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