「日本の読者の方々へ」より

 本書は,拒食症の患者さんとそれを援助する方々の間にコミュニケーションと情報の架け橋を作ることを目的として書かれています。この病気の大きな問題点の一つは,病気が人々の間に「私と彼ら」という亀裂を作ってしまうことなのです。これは,敵意,批判,恐れ,嫌悪,そして欲求不満を引き起こします。このような否定的な感情は問題をより一層大きくするだけなのです。本書はすべての人が,物事を目先のことではなく,より広い視野から見ることができるように手助けする道具となるのではないかと思います。
 
 私は20年間,ロンドンのモーズレー病院で摂食障害の方々と臨床的に関わってきました。ジェラルド・ラッセル教授は摂食障害病棟を設立されました。私は同僚のウルリケ・シュミット医師とともに,臨床家として患者さんやご家族の方々と一緒に学んだ技術や経験を共有したいと考えました。私たちはまず過食症に苦しむ方々のための本を書くことから始めました。その本,「Getting Better Bit(e) by Bit(e) : 一口ずつ,少しずつ良くなろう」は専門的援助が少なくても,自分の力で病気を克服していく助けとなりました。これはヨーロッパ各国でひろく利用されています。
 拒食症に関する本書は,その次のステップとして書かれました。これは現在私たちが行っている治療にとって貴重な力になっています。過食症の本とは異なり,ここでは患者さん本人だけに焦点を絞っているわけではありません。ご両親,先生,その他の医療関係者に関する部分も設けています。本書を治療の一部として用いることによって,必要な援助がかなり楽になる可能性があります。例えば,私たちの病院では入院を必要とする患者さんの数が随分少なくなっているのです。

ジャネット・トレジャー