生田 孝著

青年期心性の臨床
精神病理学の視点から

A5版 276頁 定価(本体4,500円+税) 2000年10月刊


ISBN978-4-7724-0662-8

 青年期患者への診断と治療の困難さはこれまでも強調されてきた。現在「こころのケア」の必要性が認知されると同時に,犯罪の低年齢化,不登校の増大,大人の義務を回避しようとする若者たちの出現,ひきこもる青年たちの存在などが,「こころ」の問題と向き合わざるを得ない状況を生み出している。
 本書は,臨床精神病理学の視点から,精神分裂病,思春期妄想症,境界例,不安,自殺,離人症,家族否認症候群等,思春期・青年期にみられる心の障害を論じたものである。著者はまず,近年変貌しつつあると言われる現代の青年期心性の大きな特徴を「大人になろうとしない若者たち」と捉え,精神医学的に見た自由との関連,自我の成立を精神疾患の事例研究を通じて論ずる。その方法論は空疎な抽象論ではなく,治療技法のレベルで実践化されうる真に演繹的な手法を駆使したものである。
 青年期心性の変わる部分と変わらざる部分を論じ,新しい青年期像とその行動特徴を論理的考察によって明らかにする野心的な試みである。

おもな目次

    序章

      精神病理学から見た新しい青年像

    第一章 青年期心性を考える

      思春期のこころ
      青い鳥症候群
      青年期と離人症
      青年期の自殺

    第二章 青年期臨床から精神病理学へ

      青年期の精神病理像と性差
      境界例における制約的イメージの病理について
      精神病理学による不安の理解
      精神医学における自由の問題について
      精神医学の立場から見た心身問題

    第三章 青年期をめぐる妄想と幻覚の精神病理

      妄想と隠喩
      家族否認症候群の治療
      妄想における反証不可能性について
      ゲーデルの宇宙

    終章

      〈ヒストリー〉としての「いのちの電話」