H・ゲイル・D・ピッチャー,スコット・ポランド著/上地安昭・中野真寿美訳

学校の危機介入

A5判 254頁 定価(本体3,800円+税) 2000年11月刊


ISBN978-4-7724-0674-1

 過去50年間で,学校の環境は劇的に変わってしまった。かつては,授業中に私語をする,ガムをかむ,廊下を走るといったことが重大な指導上の問題であった。が,今日では,アルコールや薬物の乱用が絡んだ事件,10代の妊娠,(施設の)破壊行為,強盗や暴行,さらには自殺や殺人までもが多くの学校で発生している。時代を考えれば,学校関係者は危機が起こるということを事実として受け止めねばならない。管理職,カウンセラーや教師は,この挑戦に応じるだけの力をつける必要がある。本書は,学校関係者にとって非常に実用的なハンドブックであり,明確に学校現場を対象とした危機介入およびその予防技法のガイドラインがわかりやすく示されている。

 バスの大事故,校内暴力や自然災害といった学校基盤の大きな危機のみならず,虐待,離婚,家庭内暴力や自殺のような一人ひとりの子どもを対象にした危機も網羅し,本書は事例研究やあらゆる学校職員の個別の反応について述べられている。また,保護者,生徒や教師向けの配付資料のサンプル,地域ネットワーク資源のリスト,危機チームの各メンバーの「任務」リストのサンプルも掲載されている。

おもな目次

    第1章 序 論

      今なぜ,危機介入なのか
      危機とは何か
      もし危機が放置されればどうなるのか
      学校で普通に起こる危機状況
      なぜ,今日学校の危機が頻発するのか
      危機介入の歴史と基本的な概念
      危機介入における学校心理学

    第2章 学校における危機:多様な要求,多様なスキル

      概念と情報
      危機の概念的モデル
      危機の電話の取り扱い
      地域社会の精神保健システムについて知るべきこと
      危機カウンセリング・スキルと方法

    第3章 具体的な危機についての助言と事実に基づく情報:早見資料

      不登校と学校恐怖症
      身体的虐待と性的虐待
      家庭内暴力
      死と喪失
      離  婚
      自殺の危険性と自殺行動

    第4章 危機介入コンサルテーション

      危機と学校文化
      基本的なコンサルテーション・スキル
      他者の統制に関するコンサルテーション
      学校における死に関するコンサルテーション
      学校の安全に関するコンサルテーション
      学校から暴力を追放するための提案

    第5章 危機が地域社会に影響を及ぼす事態:学校規模の危機や災害に対する準備

      ココナッツ・グローブ,バッファロー・クリーク,スリー・マイル島:地域社会災害から学んだ教訓
      チョーチィラー,コークビル,コンコード,ウィネツカ,グリーンウッド,ストックトン:学区の大惨事から学んだ教訓
      第3次予防:学校における初めての危機

    第6章 事前のプランを持たない突発的な学校危機のまっただ中での危機対応

      危機の電話
      現場に到着
      どのような援助が必要か
      管理職へのコンサルテーション
      学校職員とのコンサルテーション

    第7章 学区規模の危機予防と対応プランの確立

      第1次および第2次予防:優位にたつ
      管理職の支援を得る
      危機演習:危機プランを意味のあるものにする
      なぜ危機チームなのか
      全般的行動プラン
      コミュニケーションの問題
      危機チーム・メンバーの訓練
      チーム・リエゾンの確認および任務の明確化
      危機チームに対する学区の自覚
      地域援助を背景にした学校援助
      結  論

    付録A 第1次,第2次,第3次レベルの予防における危機チーム・メンバーの責任

    付録B 大惨事や建造物災害への機関の援助

    付録C 危機専門職員の訓練に関する基本的概念

    付録D 準専門スタッフの訓練の資料

    付録E 危機演習の資料

    付録F 死をテーマにした教材(推薦図書)

    付録G 危機介入テスト

    付録H 危機演習の実例

    付録I 学区の危機介入プログラムと移動救急処置との調整と連携