バリー・L・ダンカン,マーク・A・ハブル,スコット・D・ミラー著/児島達美,日下伴子訳

「治療不能」事例の心理療法
治療的現実に根ざした臨床の知

A5判 240頁 定価(本体3,400円+税) 2001年6月刊


ISBN978-4-7724-0699-4

 「治療不能」だとみなされたクライエントたちに,いかに対応し,いかに治療可能にするのか? 本書は,治療者ならだれもが感じている,この単純で,かつ無力感に打ちのめされそうな問題にひとつの解答を見出したものである。
 「治療不能」というレッテルを貼られ,転々と治療者を変えるようなクライエントたちは,同様の4つの道をたどるという。彼らは治療不能だったのではなく,セラピストとの関係性の中で治療不能になる。本書にはそうした「解離性同一性障害(多重人格)」や「境界性人格障害」「妄想性障害」など面倒で,厄介で,病理が深く,克服できそうにない困難に見舞われたクライエントたちが登場する。心理療法全般に共通する4つの治療要因を最大限に活用することで,彼らは如実に癒されていく。著者たちがなしえたことは奇跡ではなく,治療的現実に根ざした,心理療法の流派を超える臨床の知を実践した結果である。
 本書の考え方は,困難事例や難治事例,抵抗事例,治療不能事例に限らず,あらゆる事例にも対応しうるものであり,さまざまな学派に属するすべての実践家に,新しい観点を提供することだろう。

おもな目次

      日本語版への序
      序  論

    第1部 実験および実証的研究

      第1章 治療不能の法則を変える
      第2章 治療をクライエントの枠組みに適合させること―実証的な検討―

    第2部 臨床方法

      第3章 治療不能との作業―セラピストが考慮すべきこと―
      第4章 治療不能なケースとの会話―不可能を可能にする―
      第5章 探求し,発見し,そして承認すること―ナタリーのケース―

    第3部 臨床への応用

      第6章 ケース:解離性同一性障害―「お恵みのコラージュ」―
      第7章 ケース:妄想性障害―「なんとか退職まで」―
      第8章 ケース:境界性人格障害―「私のどこがおかしいのか」―

    第4部 終   章

      第9章 実行不能―別の道を選ぶ―