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「訳者あとがき」より

 本書は,Peter Sturmey (1996) Functional Analysis in Clinical Psychology. Wileyの全訳である。内容は,書名にあるように行動療法の実践において,もっとも重要な基盤となる機能分析(治療計画へつなげる診断手法)についての解説書である。
 わが国においても,臨床の場で次第に行動療法の実践は確実にひろく浸透しつつあり,行動療法の実践家も増えつつある。そういう人たちから,行動療法の最も中心的技法である機能分析についての実践向きのよい参考書を紹介してほしいという相談をよく受るようになった。
 機能分析についての解説書としては,わが国でもいくつかすぐれた訳本が出されている。たとえば,『はじめての応用行動分析』(PAアルバート/ACトルーマン著 佐久間徹,谷晋二監訳),それに『1事例の実験デザイン』(DHバーロー/Mハーセン著 高木俊一郎,佐久間徹監訳)などがある。しかし,これらのものは,専門書としての価値は非常に高いものだが,極めて限られた専門分野に関するものであり,機能分析についての一般的解説書とは言いがたく,機能分析についてもっと一般的な総合的な解説書がほしいと感じていた。そのようなときに,本書と出会い早速,わが国の行動療法の発展の一助になればと思い,翻訳したものである。本書は,一読していただくとわかるように機能分析についての概念や機能分析における作業手順,機能査定にもちいる諸用具と技法,具体的事例,機能分析の参考になる優れた論文等の紹介など,機能分析についてのきわめて総合的,具体的,かつ実践的解説書であり,行動療法をこれから勉強しようとされる方にしても,またすでに行動療法の実践に携わっている臨床家や研究者にとっても有用な参考書となるものだと思う。本書が,わが国の行動療法の発展,あるいはもっと広く臨床実践の参考書として役立つことを願うものである。
  平成13年10月31日

監訳者 高山 巖

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