ハーレーン・アンダーソン著/野村直樹・青木義子・吉川悟訳

会話・言語・そして可能性
コラボレイティヴとは? セラピーとは?

四六判 280頁 定価(本体3,000円+税) 2001年11月刊


ISBN978-4-7724-0721-9

 心理療法における会話の可能性,言語の可能性を社会構成主義の文脈から語った本書は,欧米の1990年代に生きるセラピストにもっとも感銘を与えた本のひとつである。
 セラピストとクライエントは,治療する側,される側に分かれるのではなく,臨床という場で協同する関係にあると著者ハーレーン・アンダーソンは言う。その地平で臨床を眺めるとき,クライエントにセラピストがラベルをつけるだけの治療理論が駆逐され,両者をつなぐ会話だけが大きな力を持つことに気づかされるだろう。両者の会話によって可能性が広げられるとき,クライエントは主体性という感覚を持つことができる。その感覚は,自分の問題や苦痛,ジレンマ,フラストレーションなど気を病ませるものを言語化させ,反対に希望や夢を実現化できるものになっていく。
 アンダーソンのアプローチは,数多くある心理療法の方法論のひとつとしてのナラティヴ・セラピーではなく,多くのクライエントとの会話から導き出された,心理療法におけるさまざまな価値観や概念を転換させる「哲学」でもある。本書は,現代の心理療法に違和感を持つポストモダニストたちにひとつの方向性を与えるものになろう。

おもな目次

    日本語版に寄せて アルメニア人のストーリーテラー ハリー・グーリシャンの思い出
    第1章 対話の空間を広げる 理論と実践を行き来して
    第2章 対話のパートナー
    第3章 はなしの舞台
    第4章 言葉と意味を創り出すシステムとしてのセラピー
    第5章 一哲学的スタンス セラピストの位置、専門性と責任
    第6章 対話としてのセラピー
    第7章 クライエントたちの声 コラボレイティヴな関係構築にむけて
    第8章 意味の中に意味をさがして