小山充道著

学校における
思春期・青年期の心理面接

四六判230頁 定価(本体2,400円+税) 2002年6月刊


ISBN978-4-7724-0745-8

 本書は,長年にわたり,中学,高校のスクールカウンセリングや大学の学生相談に携わってきた著者によって,思春期・青年期への心理的援助の考え方と,その実際を書いたものである。思春期から青年期を生きる多くのものにとって,「学校」は良かれ悪しかれ大きな意味を持つ場所である。その時代は多感な時代であり,その場所は学生・生徒,教員,保護者などなどの思いが交錯する場所でもある。
 個々人の抱くその「思い(feel with thinking)」に着目することこそ,心理面接の肝要だと著者は言う。思いに「苦しむ」→「ふれる」→「つかむ」→「収める」というプロセスをへて,人は変わっていくが,そのためには援助者は何をすべきなのだろうか。
 そのプロセスを多くの事例をもとにわかりやすく解説し,「思い」をキーワードにした心理面接のポイントを詳述した本書は,スクールカウンセラーだけでなく,学校教員や養護教諭,相談担当者などすべての学校関係者に多くのヒントを与えることだろう。

おもな目次

      はじめに

    第1章 思春期・青年期の今

      スクールカウンセリングの経験から
      一人でいること
      思春期・青年期の心理面接から
      思春期と青年期の違い
      子どもたちの声
      子どもたちのまわりの大人の声
      あたりまえ≠フ意味と心理臨床
      今の若者を、若者はどう見ているか?
      『17歳のカルテ』〜境界例の心理臨床
      セラピーの視点

    第2章 “思い”の心理療法

      “思い”というもの
      思いの力
      思いの心理療法〜心が直るための四つのプロセス
      わかりのループ〜臨床尺度
      心理的過少と過剰
      対話の意味と深まり
      ●事例1 日常場面における対話〜六〇歳の女性の訴え
      教育場面における対話から
      ●事例2 中学1年生女子の悩み
      ●事例3 中学3年生の息子の非行に苦しむ母親
      ●事例4 反抗を示し始めた高校3年生の息子にいらだつ母親
      ●事例5 PTAからいじめられていると思っている母親の呟き
      ●事例6 担任の考えは固定的で、担任が不登校生徒をつくり出していると怒り、我慢がならない養護教諭
      ●事例7 カウンセラーの勉強に行き詰まっている四十歳代女性教員の悩み
      ●事例8 反抗する息子にまいっている父親
      ●事例9 担任している子どもを虐待している母親に怒る女性教員

    第3章 思春期の心、わかる、わからない

      中学〜高校生の頃
      ●事例1 挫折の裏側〜中学3年生男子
      ●事例2 ふんばる心〜高校1年生男子
      ●事例3 「髪を切れ!」の裏側〜中学1年生女子
      ●事例4 いじめられ続けた僕のこれまで〜高校3年生男子
      ●事例5 路上生活者暴行死事件〜中学生男子、縦配列の心と横配列の心
      親の悩み
      ●事例6 「子どもにまとわりつかれて、困っています」と訴える若い母親
      ●事例7 いじめを思う〜ある父母の話
      ●事例8 情緒不安定になってきた中学2年生男子の母親の不安
      ●事例9 「高校3年生の次女の生活全般が乱れている。どう対応したら……」と訴える母親
      思春期がわかるために
      枠組みの意味〜子どもから大人へ

    第4章 思いの心理療法の適用事例

      ●事例1 人間関係のつらさを訴える高校2年生女子
      ●事例2 対人恐怖感を訴える高校1年生男子
      ●事例3 うつ症状を訴えるある大学生
      直るプロセス

    第5章 学校教員と心理臨床

      学校の今
      ある定時制高校の実状
      どこまで関われるのか
      変わりつつある学校
      先生の悩み
      スクールカウンセリングの実際
      秘密保持の意味

    第6章 現代の青年像

      青年像の変わりよう
      青年の心の内側
      青年の心の外側

    第7章 セラピストの課題

      心に責任をもつ〜心の相談を有料化
      セラピストとは何?
      事例研究の意義
      職業人として求められる臨床心理士の専門性とは何か?
      臨床心理士として求められる社会性とは何か?
      私の心理臨床実践の背景
      心理臨床研修について〜よい修行をするために
      これからの臨床心理士

    思春期・青年期を理解するためのヒント集

      学校問題
      不登校
      いじめ
      言葉に思いを込めるには?
      プロセスに沿うこと
      境界がぼやけつつある〜心を灰色においておくことに耐えられない
      心の電波を張る子ども〜灰色の心に対するひとつの対処法
      境界があいまいに
      思春期のこころ、わかるために
      対話を生かす
      つかむ%しさ
      対話・体験重視の教育へ
      心の内側に入りこむ
      呼び合う心
      教育を変えるためには

      むすび