ジョエル・ライス‐メニューヒン著/山中康裕監訳

箱庭療法
イギリス・ユング派の事例と解釈

A5判 170頁 カラー口絵8頁 定価(本体2,800円+税) 2003年4月刊


ISBN978-4-7724-0774-8

 国際箱庭療法学会の創設メンバーの一人である著者ジョエル・ライス‐メニューヒンは,ドラ・カルフに訓練を受けたイギリスにおける箱庭療法の指導的第一人者で,本書は,箱庭を用いた20年の治療経験をもとに,年齢や背景を問わず,いかにユング派の箱庭療法が効果的であったかを示したものである。著者の臨床技法は,非言語的技法としての箱庭療法を深層心理学的アプローチによる実際の言語的面接に組み入れてゆくスタイルであるが,本書では4つの事例研究をもとに病理や神経症,悲嘆といったものが箱庭を通して癒される過程を丹念に著し,クライアントの言葉や言葉以前にある無意識から投影される元型的イメージをいかに表現の次元に促進したかが述べられている。
 年齢,性別,言語といった壁を越えて非言語的表現を可能にすることで,臨床家にとって有益な材料を非常に多く提供してくれる箱庭療法は,イギリスのマーガレット・ローウェンフェルド,スイスのドラ・カルフによって開発された。ライス‐メニューヒンが発掘し,本書に収載した二人の往復書簡も興味深い。もう一つの箱庭療法の地であるイギリスでの著作は,日本の箱庭療法実践家にとっても有益なものとなるだろう。

おもな目次

    監訳者解説
    謝   辞
    1 戸口にて
    2 エントランス・ホール
    3 応接室へ
    4 箱庭療法室でのワーク
      1.ジョンの物語:中年期危機を回避した一人の男性の成熟
      2.クライブの物語:子ども時代の外傷的な自我の傷つきから癒された若者
      3.マリーの物語:悲嘆の内にある熟年女性がくぐり抜けた喪のプロセス
      4.アグネスの物語:両親の離婚とともに成熟を迎えた少女
      解釈の統合的方法
    5 書斎を通り過ぎて
      箱庭の配置の仕方を地図化する初めての試み
      診断法としての箱庭
      枠組みにとらわれない箱庭の使い方
      箱庭の普遍性
    エピローグ
    付録1 箱庭の基本用具
    付録2 箱庭療法家になるためのトレーニングに関するガイドライン
    付録3 ローウェンフェルドとカルフの往復書簡