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推薦のことば

 精神障害の予防と早期治療は,21世紀の精神医療福祉における中心課題のひとつといえよう。精神科医のこの領域への関心は高く,諸外国がリードする形ではあるが,初回エピソード症例を対象とする臨床研究を中心にさまざまな手法を用いてさまざまな研究が近年強力に推し進められている。
 一般に,疾患の早期発見・早期治療がより良好な予後をもたらすことは臨床医学の常識ではあるが,それには治療の主役たる当事者のさまざまなニーズに対応しうる治療や支援システムが必須であろう。
 本書では,精神病の予防や早期治療に強い関心を寄せる世界中の精神科医や精神医療従事者の集まる国際早期精神病協会(International Early Psychosis Association : IEPA)設立の中心メンバーであるジェーン・エドワーズ医師とパトリック・マクゴーリ教授が,メルボルンにおける自らの体験を軸に今日世界中で最も充実しているとされる早期介入拠点を渉猟して,早期介入戦略成功の秘訣を開陳している。
 監訳者の水野雅文博士と村上雅昭教授は,長年社会精神医学研究を精力的に進めながら,NPO法人みなとネット21で地域精神医療福祉の実践モデルを示すなど活発な臨床研究も行っている。両著者との個人的な交流も長く,まさに適訳者である。
 わが国の精神医療界は,いよいよ地域中心型の精神医療サービスの展開に踏み出したところであるが,今日ますます広がりを増すメンタルヘルスケアへのニーズに対して,柔軟かつ果敢に応えていく責を有しれることを願うものである。

平成15年5月吉日 慶應義塾大学医学部精神神経科学教室・教授 
鹿島 晴雄

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