鈴木 茂著

人格の臨床精神病理学
多重人格・PTSD・境界例・統合失調症

A5判 288頁 定価(本体4,500円+税) 2003年10月刊


ISBN978-4-7724-0798-4

 本書では,人格の病理に対し方法論的な視点から研究を続けてきた著者が,幅広い切り口で人格障害一般と多重人格・PTSD・境界例・統合失調症等について論じている。
 著者は,境界例をはじめ,多重人格やPTSDなどの人格障害について,概念・分類・歴史・症状・治療の問題も含めて立体的に論述し,また症候学的には確定診断が難しいような統合失調症の症例を提示し,彼らの人格的側面に焦点を当てつつ「自己」「同一性」「境界」「動機」「初期」「書字表現」といった諸概念に考察を加えている。
 さらに,木村敏,中井久夫,安永浩各先生らの著作集の解説や書評などを含む,精神病理学の先達たちに関して論じた小論文も収載した。
 広い見識と独創的な発想を基盤に,人格の病理に切り込んだ,読む者に刺激を与える1冊である。

おもな目次

    第Ⅰ部 人格障害一般と多重人格/PTSD/境界例

      第1章 人格障害と解離性同一性障害
      第2章 人格認識自体がもたらす「障害」について
      第3章 人格障害と価値判断
      第4章 「人格の同一性」と「時間的自己」からの解放―多重人格障害に対する治療姿勢―
      第5章 境界例(ボーダーライン)患者の二定点観測―20年間の変化―
      〈エッセイ〉境界性人格障害 私の治療/臨死患者のケア

    第Ⅱ部 統合失調症

      第 6 章 分裂病性妄想の起点における私の「同一性」から「本物性」への変容について―生物学的「自己」と私の「自己」意識のあいだ―
      第7章 経過中に境界例状態を呈する分裂病症例
      第8章 動機不明の殺人未遂事件をおこした分裂病圏患者の鑑定例
      第9章 精神分裂病の初期と破瓜型分裂病における時間構造
      第10章 表出症状としての分裂病性言語表現―患者の書字表現と医師の書字記録に表出されるもの―
      〈エッセイ〉精神科臨床における話し言葉の具体例/第24回日本精神病理学会印象記

    第Ⅲ部 精神病理学の先達たち

      第11章 木村敏著作集・解説
      第12章 治療とは何だろうか―カントの批判哲学から見た中井の治療学―
      第13章 安永浩著作集全4巻・書評
      第14章 Jaspers, K:Allgemeine Psychopathologie・解説
      第15章 Prince, M:The Dissociation of a Personality・解説
      第16章 文学にみる人格障害―ドストエフスキーの作品から―