エルザ・F・ロニングスタム編/佐野信也監訳

自己愛の障害
診断的,臨床的,経験的意義

A5判 320頁 定価(本体5,400円+税) 2003年11月刊


ISBN978-4-7724-0800-4

 自己愛および自己愛障害は,ジャネ,フロイトの時代から多くの理論が提出され,とりわけDSMの登場によってさらに世界的規模で膨大な議論が重ねられている。本書はその歴史的発展を踏まえたうえで,最新の経験的知見,診断上の臨床的観察所見,治療の進歩を紡ぎ合わせ,統合しようとするものである。
 精神分析界の錚々たる著者たちが,正常な自己愛の様態から精神病圏の病態にいたる病理の種々相にわたって精緻な理論を展開し,症例に基づいた実際的な臨床指針を提示しており,とくにDSMの議論では不十分にしか語られていない「潜在型」の自己愛など,自己愛に関するあらゆる側面が網羅されているので,文化的文脈に依存するわが国の自己愛を考えるうえでも,必須の文献となっている。
 個人精神分析という治療技法のみならず,集中的精神医学的治療環境における包括的治療,力動的集団精神療法,認知療法,カップル治療などについても章を割き,臨床例をあげてわかりやすい記述が試みられ,理論的偏りを排し臨床的実用性を高めることを企図した総合性が本書の最大の特長といえるだろう。

おもな目次

      日本語版への序:エルザ・ロニングスタム
      序文:ジョン・ニーマイア
      まえがき:エルザ・F・ロニングスタム

    第1部 診断的および治療的考察

          序:エルザ・F・ロニングスタム
      第1章 正常な自己愛―病因的および生態学的展望―:ミッシェル・H・ストーン
      第2章 病的な自己愛と自己愛人格障害―理論的背景と診断分類―:オットー・F・カーンバーグ
      第3章 自己愛人格障害の臨床診断におけるその後の:アーノルド・M・クーパー
      第4章 DSMにおける自己愛人格障害―歴史的展望と今後の方向性―:セオドア・ミロン
      第5章 正常な自己愛と病的自己愛の発達的側面:ポーリナ・F・カーンバーグ

    第2部 治療的考察

          序:エルザ・F・ロニングスタム
      第6章 自己愛患者の治療における転移と逆転移:グレン・O・ギャバード
      第7章 一次的な自己の障害を有する患者の精神分析―自己心理学的展望―:ポール・H・オーンスタイン

      第8章 自己愛患者の精神分析への対象関係論的アプローチ:ルーシー・ラファージュ
      第9章 集中的精神医学的治療環境による自己愛障害の治療:ラルフ・H・ボーモント
      第10章 集団精神療法における自己愛患者―グループ初期における感情の包容―:ベネット・E・ロス
      第11章 スキーマに焦点づけた自己愛患者の治療:ジェフリー・ヤング, キャサリン・フラナガン
      第12章 カップルセラピーにおける自己愛障害の現れ方―診断と治療―:マリオン・F・ソロモン

    第3部 特別な臨床的考察

          序:エルザ・F・ロニングスタム
      第13章 感情調節と自己愛―自己愛患者に見られる心的外傷,アレキシサイミア,心身症―:ヘンリー・クリスタル
      第14章 自殺における病的自己愛と自己制御のプロセス:ジョン・T・モルツバーガー

    第4部 研   究

          序:エルザ・F・ロニングスタム

      あとがき:エルザ・F・ロニングスタム