ISBN978-4-7724-0801-1
本書は,ビオンのスーパーヴァイズを受けた著者らが,精神分析家ビオンの臨床に対する考え方を再検討し,多くの事例を交えながら,具体的にかつわかりやすく詳解したものである。
ビオンの解説にはクラインの理論から入るものが多いが,本書はビオンの理論とクラインとの間の断絶を強調することで,独立したビオンの理論体系をより明解に描き出しているところにポイントがある。本書では,ビオンの著作の中でも重要とされる『経験から学ぶこと』『精神分析の要素』『変形』の三冊のテーマを包含しているので,「基底的想定」「究極的現実〈O〉」「K」「H」「L」といった難解といわれるビオンの思想に容易に迫ることができる。また,ビオンの小伝やグループ・アプローチにも触れられ,だれしもがその臨床のエッセンスをただちに吸収できるものとなっている。
常に臨床と向き合ってきたビオンの思索を追求した本書は,初学者だけでなく,ベテランの精神分析家にとっても座右の書となるだろう。