マリアン・コーリィ,ジェラルド・コーリィ著/下山晴彦監訳/堀越 勝,堀越あゆみ訳

臨床心理学レクチャー
心理援助の専門職になるために
臨床心理士・カウンセラー・PSWを目指す人の基本テキスト

A5判 296頁 定価(本体3,800円+税) 2004年4月刊


ISBN978-4-7724-0822-6

 心理援助に関する本はこれまで数多く出版されていますが,そのほとんどは援助のための技法や理論,あるいは具体的な手続きを扱ったものです。本書はそうした本とは一線を画したもので,焦点は援助職(を目指す人)自身にあります。援助専門職になるための教育訓練課程で生じる問題,あるいは他者を援助する際,援助者自身が自らの課題として取り組まねばならない人間的側面がテーマとなっているのです。
 まず最初は,援助職を目指す自分の動機を調べてみることから始まります。そして,自分自身の特性を知ること,それにより効果的な援助がいかに可能となるかについてなど,自己理解を深める道筋とその必要性が示されています。さらに現場実習やスーパービジョンの活用法など,教育訓練過程のさまざまな場面に積極的に取り組み,それを生かすためのコツが具体的に書かれているのも本書の特徴です。援助過程の各段階を概観し,それぞれにおける課題を遂行するために必要な技能と知識を紹介しつつ,援助過程はどのように進んでいくのかもわかりやすく解説しています。
 また,臨床の場に出れば,守秘義務やインフォームド・コンセント,クライエントの自律性の尊重といった倫理的な問題に,誰もが必ず直面することになります。本書では豊富な事例を示し,それをともに考えていくことで,こうした複雑で難しい問題に対する意識と,それに対処し判断するための感性を高めていきます。さらに,援助者のもつ価値観や信念が援助過程に与える影響の分析も重要なテーマとして取り上げています。
 本書は臨床心理士,カウンセラー,PSWなどの心理援助職を目指す学生や,実際に活動を始めたばかりの初心の専門職のための,今すぐ役立つ実践テキストブックです。

おもな目次

    第1章 心理援助の専門職は,あなたに向いているでしょうか

      1.この章のねらい
      2.援助専門職を目指す,あなたの動機を調べましょう
      3.著者が援助専門職になるまで
      4.援助専門職は誰にでも向くというものではない
      5.“望ましい援助専門職”のあり方とは
      6.専門課程の選択と職業の決定
      7.復習のために
      8.これからすること

    第2章 教育訓練における学習をより効果的にするために

      1.この章のねらい
      2.教育訓練を意味あるものにするために
      3.現場実習を最大限に活用する
      4.スーパービジョンを役立てる
      5.復習のために
      6.これからすること

    第3章 援助過程を構成する諸段階

      1.この章のねらい
      2.援助の理論
      3.援助のための関係とは,どのようなものか
      4.援助の第1段階:問題を明確化する
      5.援助の第2段階:目標設定を援助する
      6.援助の第3段階:目標を実行するのを援助する
      7.援助の第4段階:終結
      8.復習のために
      9.これからすること

    第4章 初心者が直面する問題

      1.この章のねらい
      2.初心者が抱く心配と恐れ
      3.転移と逆転移
      4.難しいクライエントに取り組む
      5.復習のために
      6.これからすること

    第5章 援助専門職が直面する倫理的問題

      1.この章のねらい
      2.倫理的問題に関する質問項目
      3.倫理に基づく判断
      4.自らの能力を知り,クライエントをリファーする
      5.クライエントの権利
      6.クライエントとの専門的関係を維持する
      7.倫理的基準と法的基準
      8.援助専門職の不正行為
      9.復習のために
      10.これからすること

    第6章 価値観と援助関係

      1.この章のねらい
      2.援助活動において価値観の果たす役割
      3.価値観を提示することvs.押しつけること
      4.価値観に関するクライエントとの不一致
      5.価値観の不一致が生じやすいテーマ
      6.復習のために
      7.これからすること