吉川 悟著

セラピーをスリムにする!
ブリーフセラピー入門

A5判200頁 定価(本体2,800円+税) 2004年9月刊


ISBN978-4-7724-0844-8

 本書は,ブリーフセラピーを中心にシステムズアプローチ,家族療法,ミルトン・エリクソン,ナラティヴ・セラピーはいうに及ばず,精神力動論から行動療法まで,あらゆる流派・理論から〈盗み出した〉「ものの見方」,「大技・小技」を駆使して,20年以上にわたって「何でもあり」の開業臨床を続けてきた著者による「吉川流ブリーフセラピーの勧め」である。
 多くのクライエント=ユーザーは一日でも早く,今抱えている心理的困難が解消することを望んでいる。その期待にそって,セラピストのための目標や理論のための技法をダイエットしてゆけば,セラピーはおのずとスリムでブリーフになる……そのような観点から著者は,現場で本当に役に立つ,より効果的・効率的なセラピーの進め方を惜しみなく披瀝している。開業臨床で培った現場感覚と現場第一主義の臨床家としての本音にも,多くの読者は頷かされることだろう。
 真剣勝負で日々の臨床に明け暮れる本当のプロフェッショナルと,そんな真のプロフェッショナルを目指す心理臨床家に必読の書。

おもな目次

    第1章 私的ブリーフセラピーの経緯とスタンス

      Ⅰ どうでもいいようなおことわり
      Ⅱ 私的ブリーフセラピー観
      Ⅲ 枠組みの柔らかい治療にむけて
      Ⅳ もう一度,ブリーフセラピーの原点に立ち戻って
      Ⅴ ブリーフセラピーに関するディスカッションを期待して

    第2章 ミルトン・エリクソンから盗んだもの

      Ⅰ 5人の大泥棒たちが盗んだもの
      Ⅱ 憧れの君エリクソンを盗み続けて数十年[Strategic Family Therapy]
      Ⅲ エリクソンを新世紀に繋げた強盗団[Mental Research Institute ; MRI]
      Ⅳ constructivismという袋にエリクソンを入れた盗賊[Solution-Focused Brief Therapy注2)]
      Ⅴ 泥棒と化してしまった内弟子たち[Ericksonian psychotherapy,Possibility Approach]
      Ⅵ 美味しいところだけを盗み出した知能犯[Neuro-Linguistic Programming]
      Ⅶ 泥棒たちが盗み出そうとしたエリクソンの秘宝
      小窓:人同士のつながり/あるケースでの出来事

    第3章 システムズアプローチという魔法の箱

      Ⅰ 出会いと惹かれ続けるわけ
      Ⅱ 人間関係の秘伝書──システム論
      Ⅲ 魔法の杖──ジョイニング
      Ⅳ 魔法の鏡──パンクチュエーション
      Ⅴ 魔法の箒──先達のさまざまな知恵
      小窓:あるジョイニング

    第4章 ブリーフにするための魔法小技辞典

      Ⅰ まず「技」ありき,とは?
      Ⅱ 基本的な魔法の技,その応用のために
      Ⅲ 身につけておきたい魔法の対話能力
      Ⅳ おわりに
      小窓:ある先生のこと

    第5章 ナラティヴ・セラピーとNBM

      Ⅰ ナラティヴが生まれた背景
      Ⅱ テクニカルであることの弊害
      Ⅲ 羅生門的現実
      Ⅳ ナラティヴ・セラピーの主要な方法論
      Ⅴ NBM概要
      Ⅵ 終着に近いところにあったもの
      小窓:ナラティヴ・セラピー

    第6章 ブリーフの治療者って,どんなふうに「人」「臨床」「自分」を見ているの

      Ⅰ ブリーフセラピーは独立した心理療法か
      Ⅱ 治療を実施する環境の問題
      Ⅲ 「人」の相互作用を表現できるものか
      Ⅳ ブリーフセラピーの教育についての疑問
      Ⅴ セラピストにとって「認識論」って
      Ⅵ 現在のブリーフセラピーから未来へ
      Ⅶ 連載の終わりに
      小窓:連載

    第7章 どこがスリムにできる可能性があるか

      Ⅰ 治療に来談する人たちの期待を理解しているか?
      Ⅱ 心理療法を行う場の持つ効果を理解しているか?
      Ⅲ トレーニングはどう臨床を邪魔しているか?
      Ⅳ 情報収集すれば悪くなると理解しているか?
      Ⅴ 質問はとらわれを作る介入だと理解しているか?
      Ⅵ 治療は物事の考え方を少し変えてからはじまり,考え方を教える効果があることを理解しているか?
      Ⅶ 治療は終結後まで影響を与えかねないことを理解しているか?
      Ⅷ 鵜呑みにするより,一度は疑ってみよう

    第8章 理論はダイエットに役立つのか

      Ⅰ 理論は治療者の安心のためにある
      Ⅱ 治療者のための理論から治療のための理論へ
      Ⅲ 人が困っているのは日常の一部分である
      Ⅳ 相互作用を相互作用として見ることの困難さ
      Ⅴ リエゾン領域での発想の自由度を見習う

    第9章 ブリーフは恨まれ,疎まれる

      Ⅰ 誰にとってのカスタマーやリフレイミングか
      Ⅱ 何を問題とするか
      Ⅲ 組織にとってのブリーフセラピーはどう見えるのか
      Ⅳ 終わりに代えて

    第10章 5分でできる情報収集

      Ⅰ なぜ今さら「情報収集」なの?
      Ⅱ 基本的な「情報」と治療者への要求
      Ⅲ 目と脳味噌の切り替え
      Ⅳ 耳と脳味噌の切り替え
      Ⅴ 一応のまとめと今後に向けて
      Ⅵ 自信は過信につながるか?

    第11章 「治療者にいじめられてきた」と訴える患者とどう会話したのか――オートポイエーシスの視点を治療の説明として

      Ⅰ 目  的
      Ⅱ 事例の概略
      Ⅲ 面接経過
      Ⅳ 考  察

    第12章 開業心理臨床にかかわる四つの話題と愚痴一つ

      Ⅰ 相談とお金の関係
      Ⅱ ユーザーの変化
      Ⅲ 後進について
      Ⅳ 医者のトレーニング
      Ⅴ 見えてきたもの
      Ⅵ 心理バブルはいつまで続く