滝川一廣著

新しい思春期像と精神療法

A5判 280頁 定価(本体3,400円+税) 2004年11月刊


ISBN978-4-7724-0847-9

 現代の思春期心性はいかなる姿をとっているのか。そして,臨床家は青少年のこころの危機にどのように対処すべきか。本書は,不登校,境界例,いじめ,摂食障害,障害児へのケア等,子どものこころの発達臨床に長年取り組んできた著者の代表的論考を収録した初の論文集である。
 著者は,「人間のこころ」を対象する精神療法は,どのような学派の技法もその基底は,日常の営みがはらむ経験的な知恵と工夫のうちに求められると説く。そして,本書の各論文において,児童思春期疾患の本質的な解決や改善を客観的な統計資料を基に解析,その実相を浮き彫りにしたうえで,日常臨床においては,ラディカルな理解,コンサーヴァティヴな関与,という繊細な二重性とバランスを保ちつつ心的援助を試みている。
 思春期臨床の特質を的確にかつ具体的に解説し,生活体験に根ざした多面的な精神療法を身につけるための臨床指導書であり,思春期青年に接する専門職の人々にとって多くの示唆を与えるであろう。巻末には著者自身による詳細な解題を付した。

おもな目次

      序論 新しい思春期像――思春期心性と現代の家族――

    第Ⅰ部  時代と文化からみた現代思春期像

      社会,家族,そして精神療法
      思春期における〈性〉と〈食〉
      表象としての食卓
      中学生は変わったか
      悩める中高生――悩みの昔と今――
      いじめの背景と日本的特性
      「子どもの人権」再考

    第Ⅱ部 思春期のこころの治療

      おとなの精神科医と子どもの精神科医
      心理療法の基底をなすもの――支持的心理療法の場合――
      子どもの神経症治療の特徴と留意点
      〈食事〉からとらえた摂食障害――食卓状況を中心に――
      摂食障害への精神療法的アプローチ
      青年期境界例
      不登校へのカウンセリング――学校の先生へ――
      レジデンシャルケアにおける心理治療
      児童養護施設児童の青年期