ドナルド・メルツァー著/新宮一成,福本修,平井正三訳

夢生活
精神分析理論と技法の再検討

A5判 248頁 定価(本体3,800円+税) 2004年11月刊


ISBN978-4-7724-0848-6

 本書はフロイトによる夢理論の,〈構造論的理論〉の枠組みにおける最初の大きな改訂である。本書は夢生活の構造と機能を,心的生活の象徴的領域における決定的な側面として探究し,メラニー・クラインの概念,とくに心的現実の具象性と心の世界の空間的構造を活用する。この背景に加えて,ウィルフレッド・ビオンによる〈思考作用の理論〉とアーネスト・カッシーラーによる〈象徴形式の哲学〉が,夢と思考過程・言語使用・世界における行為との関係を探究する理論的基礎としてある。本書第Ⅱ部は,この〈構造論的理論〉が夢の探究と解釈の実践にとって持つ意味についてであり,精神分析的技法と方法のこの側面を,新しくより確かな基盤の上に位置づけている。(本書解説より)
 メルツァーは,クライン派を代表する精神分析家であり,乳児観察・自閉症児や精神病者の分析等から,情動を心的経験の中心に据えた独自のメタ心理学を構築したことで知られる。本書は,患者の内的世界を伝える夢の解釈を精神分析の根幹とした彼の理論のエッセンスが凝縮された重要な著作である。

おもな目次

    第Ⅰ部 理論的背景

      第1章 夢を睡眠の番人であるとするフロイトの見解について
      第2章 夢理論の認識論的問題
      第3章 クライン‐ビオンによるフロイトメタ心理学の拡大

    第Ⅱ部 夢生活の改訂理論

      第4章 無意識思考としての夢を見ること
      第5章 象徴・記号・典型・真髄
      第6章 夢生活:意味の生成劇場
      第7章 夢における視覚言語と言葉による言語の相互作用
      第8章 夢と幻覚の境界領域

    第Ⅲ部 夢探究の実践

      第9章 夢と行為との間の境界領域
      第10章 夢探索と夢分析
      第11章 夢の語りと夢の連続性
      第12章 患者と分析者における夢分析への抵抗
      第13章 患者と分析者における,夢を見ることと経験から学ぶことの関係
      第14章 分析からの回復と自己分析の方法

      解題:意味生成の場としての夢生活(福本修)