成田善弘著

治療関係と面接
他者と出会うということ

A5判 260頁 定価(本体3,600円+税) 2005年8月刊


ISBN978-4-7724-0880-6

 本書において著者は,長年思春期青年期の患者とかかわっている経験から,近年の傾向として,女性患者が著しく増加したこと,若者の心理が精神内界の葛藤から外界の行動へ,「恥ずかしい」から「怖い」へ,さらに「むかつく」と「きれる」へ,「自罰」から「他罰」へと変化したこと,外傷論・虐待原因説の台頭,といった点を指摘し,現代の病理に対するプロの精神療法家としての臨床技術をわかりやすく解説している。
 副題の「他者と出会うということ」とは,患者が治療者を「一人の他者」と見なすと自己を見つめ始め,一人の自立した個になるという治療の転機が訪れることを指したものである。そして全編を通じて,クライエントの内面への関心,了解,共感,関与といった一般的精神療法の諸要素こそがすべての精神療法の基本であるとする著者の精神療法についての感じ方,考え方が多くの事例を交えて率直に語られている。
 患者の気持に治療者が共鳴するとはどういうことか,患者の心理はどう動いていくのか,他職種とコミュニケートする能力とは,等,専門領域の知識と技術が豊富に盛り込まれた真に実践的な臨床指導書である。

おもな目次

      序に代えて――精神医学の中に精神(心理)療法は生き残ることができるか――

    第Ⅰ部  心理療法と精神病理

      若者の精神病理――ここ20年の特徴と変化――
      共感,解釈,自己開示――他者と出会うということ――
      心理療法的関係の二重性
      「抱える」ことと「差し戻す」こと――青年期患者の治療と森田療法――
      精神分析における支持
      患者の心理はどう動いていくのか
      喪失と創造の間――中年期の課題と精神療法――

    第Ⅱ部  病態と治療

      境界性人格障害の個人精神療法
      境界例の治療――とくにマスターソンの技法をめぐって――
      心的外傷――問題の所在――
      強迫性障害に対する治療の心得
      強迫神経症と強迫性障害――精神療法と薬物療法の接点――
      強迫性人格障害の力動的理解と治療
      心身症の治療
      コンサルテーション・リエゾン

    第Ⅲ部  エッセイ,書評

      精神分析の面白さ
      フロイトと贈り物
      だいじょうぶ――精神療法における話し言葉――
      面接の頻度・面接の時間・面接の場所
      書評『新訂 方法としての面接――臨床家のために――』
      書評『山中康裕著作集(全六巻)』
      書評『精神分析のすすめ――わが国におけるその成り立ちと展望――』