J・L・ウォルター,J・E・ペラー著/遠山宜哉,花屋道子,菅原靖子訳

ブリーフセラピーの再創造
願いを語る個人コンサルテーション

A5判 248頁 定価(本体3,800円+税) 2005年7月刊


ISBN978-4-7724-0881-3

 ブリーフセラピーからナラティヴ・セラピーへ―本書は,より効果的な心理療法の開発を目指した著者らによる,ポスモダン・アプローチとブリーフセラピーが融合した,一番新しい「ブリーフセラピー」の入門書である。
 人を取り巻く環境は激変しており,その悩みも多様化,多層化している。それに合わせ,心理療法も変わってゆく必要があり,現代的であったブリーフセラピーも同様に変わらざるをえない。そうしたなか,本書は,新しいセラピー像のあり方を探ったもので,「リフレクティング・チーム」「語る」「願い」「可能性」「無知の知」といったキーワードを手がかりに,クライエントの多様なニーズに合うフレキシブルな方法論であるポストモダン・アプローチと,経済的で効率的な技法論であるブリーフセラピーとの融合をはかったものである。
 ウォルターとペラーの労作である本書は,近年のブリーフセラピーやナラティヴ・セラピーの文献で必ずといっていいほど挙げられる臨床書である。二人の地道でしっかりと地に足のついた臨床から得られた生きた知見は本書の中に息づいており,心理面接のクオリィティをあげたいと考えるすべての臨床家に必読であろう。

おもな目次

      はじめに 願いからの出発

    第1章 職業上の変転から得たもの―治療から個人コンサルテーションへ

      職業的変転の経過
      観察から会話へ

    第2章 劇的なパラダイム転換―観察から会話へ

      ポストモダン概説
      ポストモダンのもたらすもの

    第3章 創造的な問いかけ―仮定から探求へ

      創造的な問いかけ

    第4章 好奇と感嘆に満ちた対話の空間を創造する―インタビューから会話へ

      会   話
      「好奇心を共にする」
      聞き,傾聴し,確認すること
      「好奇心を共にする」ことから生まれる質問

    第5章 願いについてたずねること―目標設定から嗜好語りへ

      関心事と状況
      誰が何を望んでいるのか
      視覚化,あるいは物語の語りというメタファー

    第6章 変化の意味についてたずねる―手段から意味へ

      他者の変化を望むとき
      気分の変化を望むとき
      不可能な変化を望むとき

    第7章 「サイン」言語で可能性を探る―直線的思考からブレインストーミングへ

      クライエントの望みを示すサイン
      変化がさらに変化を生むことを示すサイン
      後退した後のサイン
      前進のサイン
      複数の人が関わるときのサイン

    第8章 差異と成功についてたずねる―障害から希望へ

      初回面接の冒頭で
      嗜好から現れる成功の物語
      サインについての会話から生まれる成功の物語
      2回目以降の面接における成功と差異の物語

    第9章 他者の声を会話に招き入れる―観察者の視点から会話の双方向性へ

      他者に目を向けた問いかけとクライエント自身に向けた問いかけ
      他者の見方を招き入れること
      失望に終わる会話

    第10章 応え返しと力づけ―フィードバックから相互の応え返しへ

      応え返すこと
      会話中にクライエントが行う応え返し
      力づけること
      3つの姿勢から生まれる応え返し
      チームによる応え返しの時間
      一人で面接するときの応え返し
      提案

    第11章 個人コンサルテーションの全容―信頼感とすっきりした頭をめぐる会話

      初回面接
      第2回面接:約1週間後
      第3回面接:約1週間後
      第4回面接:約1週間半後
      第5回面接:約2週間後
      第6回面接:約2週間後
      第7回面接:約1週間後
      第8回面接:約2週間後
      最終面接

      結び 終わらない終わり