伊藤良子監修/玉井真理子編集

遺伝相談と心理臨床

A5判 248頁 定価(本体3,400円+税) 2005年9月刊


ISBN978-4-7724-0886-8

 遺伝子の解析によって次々と遺伝性疾患が明らかになり,予防や治療法も発見されている。だが,患者・クライエントは,何が病気の原因なのかよりも,なぜ自分が病気になったのか,その理由を知りたがる。その〈私〉の思いをどう受け止めるのかが,心理臨床的遺伝相談の本質である。本書は,遺伝相談の現場で従事する臨床家らによって,遺伝相談の本質と遺伝臨床の現場における心理臨床的なアプローチの多様な側面を描いたものである。
 本書では,ハンチントン病などの慢性的で確実に死に至る遺伝病や遺伝性癌,知的発達障害などケースについて,事例レポートとともに医学的な解説がなされ,他にも遺伝相談とかかわりの深い周産期,不妊,法的問題,セルフヘルプグループなどについても多くのぺージが割かれている。
 患者本人や親とともに生命について聞き,語る。そうしたカウンセリングや心理療法で遺伝性疾患が治るわけではないが,病を抱えて生きる助けにはなるかもしれない。本書は,そんな遺伝相談の新しいスタンダードを示したものである。

おもな目次

      序 古山順一
      まえがき 伊藤良子

    【第1部 総論】

      第1章 遺伝医療と心理臨床:伊藤良子
      第2章 日本における遺伝相談と心理士のかかわり:玉井真理子
      第3章 リエゾン・カンファレンスから見たチーム医療の課題:乾 吉佑

    【第2部 実践】

      第4章 遺伝相談における心理臨床の実践:駿地眞由美
      第5章 子どもの先天異常と遺伝:川目 裕
      第6章 高IgM血症の子どもたちと家族―X家の20年を振り返る:浦尾充子
      [解説]高IgM血症1型:石井拓磨
      第7章 ミトコンドリア病児の母親との面接:山田祐子
       [解説]リー脳症:後藤雄一
      第8章 成人期発症の遺伝病:片井みゆき
      第9章 発症前遺伝子診断を受けたハンチントン病家系の男性:玉井真理子
       [解説]ハンチントン病:吉田邦広
      第10章 遺伝性癌と人生と物語り:岸本寛史・井上かおり
       [解説]家族性大腸腺腫症:岸本寛史
      第11章 出生前診断という医療:宗田 聡
      第12章 確定診断が得られないまま妊娠継続して出産した事例―出生前診断例にかかわって:渡通子
       [解説]染色体異常と出生前診断 松本雅彦
      第13章 出生前診断で児が病気とわかって出産した事例―筋強直性ジストロフィーの例:浦野真理
       [解説]筋強直性ジストロフィー 斎藤加代子

    【第3部 近接する心理臨床の領域から】

      第14章 周産期と心理臨床:永田雅子
      第15章 不妊カウンセリング:伊藤弥生

    【第4部 遺伝相談をめぐる法的・社会的問題】

      第16章 障害児を避けようとする出産選択と裁判―「望まない障害児出産訴訟」にみる議論の様相を中心に:服部篤美
      第17章 ハンチントン病の当事者団体を支援して:武藤香織
      第18章 染色体異常の会からの発信―18トリソミー児をもつ父母への心理的サポート:櫻井浩子

      あとがき 玉井真理子