加藤 敏著

統合失調症の語りと傾聴
EBMからNBMへ

A5判 256頁 定価(本体3,600円+税) 2005年10月刊


ISBN978-4-7724-0889-9

 医学では今日EBM(Evidence Based Medicine)旋風がまきおこり,精神医学もその例外ではない。本書は,生物学的アプローチや操作的診断体系が興隆してゆく精神医学の知の限界を明らかにし,これを補補完するために,精神科臨床の基本として統合失調症治療にNBM(Narrative Based Medicine)の視点を導入することを試み,患者の語りに対する治療者の傾聴,また精神療法的接近の仕方を探るものである。
 また,初期クレペリン,グリージンガーの原著に遡り,統合失調症についての精神医学史的吟味に基づく病態理解と疾患概念の再検討を促すとともに,メルロ=ポンティの裂開の概念を援用し,病態を捉える状況論的な理解への視点も提示する。
 精緻な理論で編まれた前著『分裂病の構造力動論――統合的治療に向けて』に続く本書では,その理論に基づく精神科治療の実践がはじめて明らかにされる。

おもな目次

    第Ⅰ部 語りと傾聴

      第1章 ナラティブ・ベイスト・メディスン(NBM)としての精神医学
      第2章 統合失調症における語りと傾聴
      第3章 行為遂行的発言としての病名告知

    第Ⅱ部 病態把握と慢性化防止

      第4章 統合失調症者における状況への関わり――裂開相と内閉相――
      第5章 統合失調症の慢性化防止のための予備的考察
      第6章 精神病理学からみたリハビリテーション――SSTに注目して――

    第Ⅲ部 精神障害のあらたな分類に向けて

      第7章 クレペリンにおける早発性痴呆の創出過程
      第8章 生物学的精神医学と精神病理学の架橋の試み