ISBN978-4-7724-0902-5
著者ガンダーソンは,境界性パーソナリティ障害(BPD)概念の構築に深く関わった人物としてわが国でもよく知られているが,その後20年にわたる臨床研究を経て,統合的なBPD治療論としてまとめられたものが本書である。
本書の大きな特徴は,どれかひとつの治療様式が絶対的なものとなるわけではないという認識に基づいて書かれていることである。著者は診断,治療目標,治療計画,適切なケアのレベルといった治療の流れについて述べるとともに,薬物療法,認知行動療法,弁証法的行動療法,家族療法,対人関係集団療法,個人精神療法といったさまざまな治療様式について詳細に記し,それらを併用することの有効性を説く。その説得力は,著者が近年の幅広い領域の文献・実証的研究に基づく進展を,自らの豊富な臨床経験に照らして検討し,統合していることに由来する。
「境界例患者に対するケアの質を改善すること」を目標とした本書は,BPD治療の新たな可能性を拓くだけでなく,患者や患者の家族にも大いなる希望をもたらすものとなろう。