吉田敬子編/吉田敬子・山下 洋・岩元澄子著

育児支援のチームアプローチ
周産期精神医学の理論と実践

A5判 280頁頁 定価(本体3,800円+税) 2006年4月刊


ISBN978-4-7724-0905-6

 周産期は,女性がライフサイクルの中で,産後うつ病をはじめとして最もメンタル面の不調をきたす時期である。また近年の緊急課題として注目される児童虐待の発生予防についても,予防的介入の時期である周産期の重要性が指摘されている。本書は,九州大学病院における,わが国初の母子メンタルヘルスクリニックでの臨床の実際について豊富なモデルケースの呈示を通して詳説したものである。
 本書は,第1部の理論編と第2部のケースの呈示で構成されている。第1部では,妊産婦自身の心理・精神医学的な障害から,さらに発展して母親の養育者としての心理的な問題と次世代への影響を母子相互作用という視点からとらえるアタッチメント(愛着)の問題まで,論理的基盤にもとづき臨床上の重要課題を取り上げている。
 第2部では,産後うつ病,統合失調症,パニック障害,摂食障害,適応障害,胎児虐待などのケースを呈示し,構造化された診断面接,具体的なケアと治療の方針,育児カウンセリングのこつ,精神科と産科スタッフの協働について詳しく解説されている。
 周産期臨床から精神科,小児科,産科領域の医学や看護学・臨床心理,母子保健,児童福祉まで,妊娠・出産・育児支援に携わるすべての人々に多くの示唆を与えるであろう。

おもな目次

    第1部 周産期精神医学の臨床研究

      第1章 周産期から精神医学的問題を俯瞰する
      第2章 研究と実践の方法論の広がり
      第3章 周産期における精神科薬物療法のリスクと利益
      第4章 ライフイベントとしての子どもの誕生
      第5章 愛着スタイル面接
      第6章 ボンディング障害と母子相互作用
      第7章 産後うつ病の育児支援

    第2部 母子メンタルヘルス臨床の実際

      第8章 精神科治療とケアのシステム
      第9章 育児支援におけるカウンセリング
      第10章 ケースの解説
      ケース1:産後精神病で緊急入院となった母親
      ケース2:統合失調症の女性の服薬管理と育児機能の評価
      ケース3:母親の急死後,パニック障害を発症した妊婦の喪の作業
      ケース4:授乳に固執した摂食障害の女性への育児支援
      ケース5:境界知能を背景に適応障害を示した女性への地域支援
      ケース6:妊娠うつ病の既往のため予防の目的で受診した女性
      ケース7:第1子を虐待した産後うつ病の女性への育児支援
      ケース8:胎児虐待とボンディング障害を示した女性と家族への危機介入
      ケース9:ライフイベントを経験しながらもウェルビーイングを維持した女性