丹野義彦著

認知行動アプローチと臨床心理学

A5判 328頁 定価(本体4,800円+税) 2006年5月刊


ISBN978-4-7724-0907-0

「留学中の半年間は,筆者の人生で最も充実した時期であった。イギリスでは科学にもとづいた臨床心理学という理念が,現場のすみずみまで行き渡っていた。臨床心理士は相当な臨床的実力を持っており,医師と対等に活躍をしていた。臨床心理士はほぼ国家資格であり,それを支える養成制度も整っていた。……これからの日本の臨床心理学を考えるにあたっては,イギリスがひとつのモデルになることを筆者は確信した」

(本書「はじめに 臨床心理学とは何か」より)


 この衝撃と喜びに導かれ,著者は現在の臨床心理学の主流である認知行動アプローチの最前線を直に見,学び取り,国際会議へも赴く。それらの体験をもとに,日本の臨床心理学のさらなる進化発展に寄与せんとする試みの集大成が本書である。
 第1部は,世界の最先端を行くイギリス臨床心理学,とりわけ認知行動療法の理論と実践の詳細な解説,そして著者が精力的に足で稼いだ各大学の世界的研究者たちの生の姿が描き出されていく。また第2部では,イギリスの臨床心理学がなぜそこまで発展を遂げたか,膨大な文献を渉猟しながら,その歴史と学問的基盤,思想的展開を丁寧に説き明かす。さらに,日本の臨床心理学の未来にとって,何が不足し何が真に必要であるかの道筋を指し示し,その高みへとわれわれを誘う,著者渾身の書なのである。本書によって,読者は認知行動アプローチの真髄と,日本の臨床心理学をエンパワーする新たな知の創出に出会うことだろう。

おもな目次

    第1部 臨床心理学

      第1章 臨床心理学・心理療法・カウンセリング
      第2章 臨床心理士の仕事
      第3章 心理アセスメント
      第4章 異常心理学
      第5章 心理学的治療(認知行動療法)
      第6章 治療効果の評価と「実証にもとづく臨床心理学」に
      第7章 臨床心理学研究
      第8章 他の医療職との連携
      第9章 臨床心理士の養成と訓練
      第10章 各大学の臨床心理学

    第2部 臨床心理学と関連する領域

      第11章 英国心理学会の活動
      第12章 心理学の資格
      第13章 職業的心理学(教育心理学,司法心理学,健康心理学など)
      第14章 基礎的心理学
      第15章 心理療法と精神分析
      第16章 カウンセリング
      第17章 精神医学と医療