松木邦裕・鈴木智美編

精神分析臨床シリーズ
摂食障害の精神分析的アプローチ
病理の理解と心理療法の実際

A5判 196頁 定価(本体2,800円+税) 2006年7月刊


ISBN978-4-7724-0924-7

 摂食障害は,同じ症状に見えてもクライエントの深いこころの世界にまで踏み込まなければ鑑別診断が難しく,安易な取り組みがゆるされない死の可能性すらある重い疾患である。本書は,困難な摂食障害治療を続けている編者らによる,あまたあるガイドライン的書物とは一線を画した,本格的な摂食障害のための臨床書である。
 第1部は,摂食障害についての編者松木の独自の臨床経験と対象関係論的視点から見た総説であり,パーソナリティの問題と症状論,そして摂食障害タイプに合わせた治療のコツを掲げる。第2部は,一般的な入院や閉鎖病棟入院,外来通院などさまざま治療環境における摂食障害への精神分析的心理療法の実際の事例の呈示。第3部は,摂食障害治療に重要な治療環境,治療構造,マネージメントの実際を看護と医師の立場から述べた実際である。
 患者一人ひとりの実態を治療的に分析し,見立て,それに即した治療を進めてゆく編者らの臨床は,多くの重症のクライエントに福音をもたらすものとなっている。医師,心理,看護をはじめ摂食障害治療にかかわるすべての人に,本書は必読のものとなるだろう。

おもな目次

    第1部 視   点

      第1章 対象関係論から理解する摂食障害の病態とパーソナリティ――そして,それに基づく分析的臨床:松木邦裕

    第2部 治療の実際

      第2章 未分化な情緒に触れ続けること――他者への迎合を続ける過食症女性との入院精神療法過程:渡邉真里子
      第3章 拒食症における不安の源泉:鈴木智美
      第4章 こころの真実に触れることの難しさ:一木仁美
      第5章 自己愛的世界から抜け出した過食症の一例――8年半の治療経過から:調 恵子
      第6章 母親の身体に閉じこもること――過食症者の「閉所」恐怖心性をめぐって:山田 信

    第3部 コンテイニング

      第7章 摂食障害患者の看護の実際――自殺を果たそうとし続ける患者への対応における受け持ちナースの役割と看護チームの役割:荘野悦子
      第8章 摂食障害治療でのマネージメント――Creating, Containing, Functioning, and Tolerating:松木邦裕

      補   遺:鈴木智美