マイケル・F・ホイト編/児島達美監訳

構成主義的心理療法ハンドブック

A5判 338頁 定価(本体5,600円+税) 2006年9月刊


ISBN978-4-7724-0929-2

 普遍的な客観性,合理性,道徳性といった近代主義的認識に疑問を投げかける新しい心理療法が,さまざまな形で発展してきている。それらに通底するのが,人間の心理的現実は社会的に構成されたものであるとする構成主義の考え方である。
 いわゆるポストモダンといわれるこれらのアプローチは,セラピストとクライエントの関係性を重視し,治療的対話に注目した,平等で個別的な臨床実践を特徴とする。個々の臨床課題やセラピストのスタイルによって,具体的な技法や重点の置き方は千差万別だが,本書では,社会構成主義療法,共同言語システムアプローチ,ナラティヴセラピーをはじめとして,構成主義的心理療法の傘の下に集うブリーフセラピー,家族療法,再決断療法,エリクソン派などの世界的に著名な臨床家が,それぞれの理論や技法を構成主義という視点を通して論じている。また,本書の中でそれぞれの立場の違いや共通点を論じつつ,事例に基づいてその多彩な実践のありようを精緻に描き出しており,各流派の異同を明確に把握し,実践に応用するためのガイドブックとなっている。
 ここで語られる多くの事例や理論的検討は,その多様なあり方にもかかわらず,そこに共通する考え方がいかに実際の臨床的要請に対して効果的で有効であるかを示している。

おもな目次

      日本語版への序文/マイケル・F・ホイト(児島達美訳)
      まえがき/ケネス・J・ガーゲン(児島達美訳)
      序  論/マイケル・F・ホイト(児島達美訳)

    第Ⅰ部 理論的な展望

      第1章 再決断療法:ナラティヴのレンズを通して ジェイムズ・R・アレン,バーバラ・A・アレン(深澤道子訳)
      第2章 生成する会話:人間システムへの関与とその概念化に向けたポストモダン・アプローチ/ハーレーン・アンダーソン,スーザン・B・レビン(吉川悟,吉川理恵子訳)
      第3章 家族療法の理論モデルをわきに置いて/リン・ホフマン(伊藤順一郎,馬場安希,小林清香訳)
      第4章 エリクソニアンの新しい認識論:新しいパラダイムの受け入れ/ステファン・ランクトン,キャロル・ランクトン(高工弘貴,宮田敬一訳)
      第5章 可能性療法:包括的かつ共同的で解決を基礎とした心理療法のモデル/ウィリアム・オハンロン(原口葉一郎,竹田菜穂子訳)
      第6章 家族療法でのストレンジ・アトラクタとナラティヴによる変容/カルロス・E・スルツキー(中村伸一訳)

    第Ⅱ部 臨床応用

      第7章 子どもたちのストーリー,子どもたちの解決:子どもやその家族に対する社会構成主義療法/ジェフ・チャン(森俊夫,黒沢幸子訳)
      第8章 セラピーにおける階層的関係の最少化:リフレクティング・チーム・アプローチ/S・ミシェル・コーヘン,ジーン・コームズ,ビル・ディローレンティ,パット・ディローレンティ,ジル・フリードマン,デイヴィッド・ラリマー,ダイナ・シュールマン(志村宗生訳)
      第9章 ソリューション・フォーカスト夫婦セラピー:クライエントが自己を満たす現実を構築するのを援助する/マイケル・F・ホイト,インスー・キム・バーグ(日下伴子訳)
      第10章 長期間のクライエントとのよりブリーフなセラピーについての,ソリューション・フォーカスト的なアイデア/ジェイムズ・W・クライダー(白木孝二訳)
      第11章 拒食症へのナラティヴ・アプローチ:言説・再帰性・質問/ステファン・P・マディガン,エリオット・M・ゴールドナー(大河原美以訳)
      第12章 暴力を振るう男性と行う内在化された他者への質問法:アラン・ジェンキンズによるコメント付き/デイヴィッド・ナイランド,ヴィクター・コルシグリア(土岐篤史訳)
      第13章 治療的スプリットを使って共感的ナラティヴをつくる/ハイム・オマー(玉真慎子訳)