成田善弘編

境界性パーソナリティ障害の精神療法
日本版治療ガイドラインを目指して

A5判 210頁 定価(本体3,200円+税) 2006年9月刊


ISBN978-4-7724-0931-5

 治療困難な境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder:BPD)患者は,近年ますます増加しつつあり,厚生労働省は,日本版治療ガイドライン作成を目指して研究班を設置した。本書は,BPDに対する個人精神療法について,その委託研究による臨床的成果を公開するものである。
 本書では,BPDの臨床経験が40年近くに及ぶ編者をはじめ,経験豊かな著者らによって,精神分析的精神療法を基盤としながらも,分析にのみ依拠することなく,最新の心理社会療法の成果も取り入れた統合的なアプローチが紹介される。さらに,BPDの基本病理の解説や現場で生じる困難な状況(自傷,自殺企図,暴力,ストーカー行為,病的退行,等)への対応,現場における日常の言葉を使った効果的な心理面接のこつが詳述されている。
 BPD治療にたずさわる精神科医や臨床心理士が日常臨床で行いうる心理援助の技法を身につけるための恰好の実践的指導書である。

おもな目次

    第Ⅰ章 BPD研究の現況

      1.BPDの概念
      2.力動的立場の病因論と治療論
      3.Linehan, MのDBT
      4.治療効果,予後についての近年の研究

    第Ⅱ章 症例の検討

      1.比較的短期間で治療終結に至った例
      2.治療が長期にわたった例
      3.摂食障害を合併した例
      4.治療中断例
      5.自殺既遂例

    Ⅲ章 精神療法過程でみられるBPDの病理

      1.浮遊する不安と多彩な神経症・心身症状
      2.見捨てられ抑うつ
      3.行動化
      4.生身の人間関係への希求
      5.体験の全体性の未完成と融合性の過剰

    第Ⅳ章 専門家へのアンケート調査から

      はじめに
      1.アンケート調査の方法と対象
      2.アンケート調査の結果
      3.考 察
      付 境界性人格障害(BPD)の個人精神(心理)療法についてのアンケート調査

    第Ⅴ章 個人精神療法の実際

      1.個人精神療法の定義
      2.個人精神療法の基本原則
      3.臨床心理士のかかわりについて
      4.治療者の資質と教育,訓練

    第Ⅵ章 個人精神療法の経過

      1.初期:「試し」の時期(3カ月〜1年)
      2.中期:転移感情の表出と言語化の時期(1〜3年)
      3.後期:社会参加の時期(1〜2年)

    第Ⅶ章 治療過程で生じる困難な状況と対応

      1.治療構造の変更を迫られる時
      2.治療者の不在
      3.電話の取り扱い
      4.自傷,自殺(の脅かし)
      5.性的誘惑(接触)
      6.ストーカー行為
      7.病的退行
      8.酩酊状態できた場合
      9.解離と否認
      10.他害・暴力
      11.面接外での遭遇
      12.中断の脅し
      13.治療者間の対立・分裂が生じる場合
      14.第三者を巻き込む行動化

    第Ⅷ章 「ガイドライン」と「精神科一般臨床」との「狭間」―ガイドライン(案)の批判的検討

      1.精神療法一般に関する問題
      2.精神療法とそのガイドライン,精神療法と薬物療法に関する問題

    BPD個人精神療法ガイドライン(案)